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2018年11月17日(土)

滋賀・饗庭野 陸自砲弾で車破損

一歩間違えば…住民恐怖 党議員に訴え

元町議会議長 “実弾演習やめるべきだ”

 滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場から発射された迫撃砲弾が演習場境界の国道近くに落下、一般車両が破損した事故から2日。被害者や周辺住民は、日本共産党の森脇徹、福井節子両市議に「屋根を貫通した3年前とは違う。一歩間違えば死んでいた」「怖くてたまらない」と命の危険を訴えました。(遠藤寿人)

 路肩に止めていた乗用車に乗っていた時、被害にあった川村長太郎さん(71)は森脇さんに開口一番「絶対こんなことが起きないよう安全にやってほしい」といいました。

窓ガラスが粉々

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(写真)被害車両の内部は被弾した窓ガラス破片がそのまま(森脇市議提供)

 川村さんは、朽木漁業協同組合長として市内を走り回っていました。書類を整理しようと、国道303号の道路脇に駐車。途端に後ろで「バシーッ」という経験したことがない衝撃音が。左後方の窓ガラスが粉々に飛び散っていました。

 演習場の方を見ると、30~40メートル先に白煙や土煙が立ち上っていました。車の左ドア3、4カ所に弾痕のような穴が開き、左後ろの雨除けのドアバイザーが割れて亀裂が走っていました。

 「これはただならん」と市役所や警察に通報。「自分はここにいていいのだろうか。次に何が起こるか分からず、おろおろする自分があった」。日常感じられない身の危険を感じ、車に戻りました。こんな大変な事態なのに砲撃音は、さらに1時間ほど続いていたと話します。

 川村さんの2、3台後ろを走っていた男性(54)は、事故の直後に通りかかりました。左方向に20~30メートルの煙が上がり一瞬、「山火事だ」と思いながら走り抜けました。振り返ると、煙が収まりつつあったので「これは火事ではない。何かが起こったな」と思いました。1時間後同じ場所を通ったら、警察、自衛隊関係者が集まっていました。

 党議員が周辺住民の聞き取りに入るなか、自民党で旧今津町議会議長を務めた中村助信さん(90)は「この饗庭野は実弾射撃訓練ができる演習場じゃない」と述べ、こう憤ります。

3年前にも事故

 「3年前にも実弾が屋根瓦を貫通した事故が起きた。戦前、戦中、戦後も含めてこういう事故が記憶にあるだけで6、7回起きている。実弾はやめるべきだといい続けてきた。3年前の事故後にまた再開した。また事故が起きた。そこまでこだわって演習をやるのはなんでなんだ」と力を込めます。

 事故現場を日に3~4往復する40代の女性は、小・中・高校に4人の子どもがいます。現場は子どもが幼いころ、子どもが泣くと止まってあやした場所。「不安が押し寄せてきます。実弾射撃訓練は何のために行っているのか疑念が強くなります」と話しました。

国・防衛省に抗議せよ

党県委・県議団 知事に要請

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(写真)国の担当者(左端)に申し入れ書を提出する(左2人目から)節木、藤井、佐藤、きのせ、杉本の各氏=16日、大津市

 日本共産党滋賀県委員会と同党県議団は16日、高島市の自衛隊饗庭野(あいばの)演習場から発射された砲弾が市民の車を損傷させた事件で、三日月大造知事に申し入れ書を提出しました。佐藤こうへい参院滋賀選挙区予定候補、節木三千代、杉本敏隆、藤井三恵子の各県議、きのせ明子県議予定候補が行いました。

 申し入れ書は、県が政府・防衛省に対し、▽県民の命を脅かす重大な事件であり、強く抗議する▽事件の全容を市民に明らかにするよう求める▽すべての実弾演習の中止を求める▽通報が遅れ、事件後も射撃訓練を続けたのか、明確な回答を求める▽何を目的とする迫撃砲訓練をしていたのか明らかにするよう求める▽饗庭野演習場で来年1月から3月に実施されようとしている日米合同演習の中止を求める―よう迫っています。

 佐藤氏らは、自衛隊の規則や2015年の重機関銃弾の民家直撃事件を受けて高島市と今津駐屯地が結んだ「覚書」に反し、事件発生後も射撃訓練を継続し県・市への通報が遅れたことについて「住民の命をないがしろにする対応であって断じて許されない」と訴えました。

 県の担当者は「知事に伝える」と答えました。


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