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2018年11月16日(金)

漁業法改悪案についての田村貴昭議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭議員が15日の衆院本会議で行った漁業法改悪案に対する質問(要旨)は次の通りです。

 安倍総理は、漁業法を70年ぶりに抜本改正し、漁業の生産性を高めると述べました。しかし法案は、水産の専門家が一人もいない規制改革推進会議が持ち出し、官邸主導で進めたものです。全国の沿岸地区の単位漁協(漁業協同組合)1000組合、漁業者14万人の声を聞くべきです。

 現行の漁業法は、漁民の総意で漁場を民主的に運用するため、地元の漁業者が全員加入する漁協を沿岸漁業権の一括した受け手とする仕組みです。戦前の不在地主的な企業の支配で、漁業の利益が都市に流出した反省から作られた制度です。全国の沿岸では地元優先の漁業権のもと、漁村社会の豊かな文化と海の資源・環境を守ってきました。漁業法の根幹を変えることは許されません。

 法案は、その漁業権を知事が直接企業に与え、地元優先のルールを廃止します。既にこの制度を先取りした宮城県の水産業復興特区では、知事が漁業者や漁協の反対を押し切り企業に漁業権を付与し、浜に無用の混乱が起きました。ようやく今、地元漁協と企業が知事のもちこんだ対立を乗り越え、復興への道筋を探っています。くみ取るべき教訓は企業への漁業権付与ではありません。

 水産庁は、地元漁業者が漁場を「適切かつ有効に活用」している場合は継続して地元に漁業権を与えると説明します。知事が恣意(しい)的に運用しない保証はありますか。

 水産資源の管理は漁業にとって非常に重要です。魚種ごとの漁獲量の上限を計算し、個々の漁船ごとに漁獲枠を割り当てる制度を導入するとしますが、日本は3000以上の魚種を季節ごとに複雑多様な方法で漁獲し利用しています。この制度で個々の漁獲量を正確に把握できますか。

 漁獲割り当ての配分に沿岸漁業者の意見を反映する仕組みはあるのですか。浜の自主的な資源管理の支援こそが必要です。まき網などの資源に最もダメージを与える大規模漁業から順次制限するべきです。

 禁漁を余儀なくされた場合どのような補償をするのですか。クロマグロの資源管理では、政府が沿岸漁業者の意見を聞かず一方的に大規模漁業を優遇し、小規模な漁業者が生活できない事態に陥りました。同じことが他の魚種でも起こるのではないですか。

 漁船の大きさを制限するトン数規制を撤廃するとしています。大資本が大型船に投資した金額に見合う漁獲枠を要求し、結果的に乱獲と小規模漁業者の割り当て削減が進むのではないですか。

 漁業権を審議する海区漁業調整委員会の公選制も廃止し、知事による任命制にするとしています。漁業者の声を封じるものではありませんか。第一条の目的から「漁業の民主化を図る」の文言を削った理由を求めます。

 漁業は94%が小規模沿岸漁業です。漁業政策に求められているのは、小規模沿岸漁業を中心に据えることであり、地元の漁業権を企業に明け渡すことではありません。


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