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2018年11月15日(木)

主張

7~9月期GDP

消費不況さなかの増税は論外

 来年10月からの消費税増税を1年後に控えた今年7~9月期の国内総生産(GDP)は、実質で前期比0・3%のマイナスとなりました。四半期ごとで見て実質GDPがマイナスとなったのは1~3月期以来2期ぶりでGDPの6割を占める個人消費は0・1%、輸出は1・8%のそれぞれマイナスとなっています。自然災害の影響もあるものの、消費不況と貿易摩擦の深刻化を浮き彫りにしています。長期にわたる消費不況のさなかに、消費をさらに冷やす消費税の増税は許されません。

2四半期ぶりマイナス

 GDPなど政府の統計には、安倍晋三政権が対象や集計方法などをしばしば変更しているため、実態からかけ離れているという批判があります(「日経」13日付など)。しかしその不十分な統計でも、消費不況や貿易摩擦の深刻さが浮き彫りになったのは重大です。

 マイナス成長となった7~9月期の実質GDPの内訳は、個人消費や輸出のほか、設備投資も0・2%、公共投資も1・9%、輸入も1・4%のそれぞれ減少(いずれも前期比)と、文字通り総崩れの様相です。0・3%のマイナス成長は1年間続くと仮定した年率では1・2%の落ち込みとなり、景気の後退は深刻です。物価変動を反映し、生活実感により近い名目GDPも前期比0・3%、年率1・1%の減少です。

 内閣府は、西日本豪雨や台風、北海道地震など自然災害が相次ぎ、外出や外泊が減少し、工場の操業や物流に影響があったといいますが、消費の低迷は2014年4月に安倍政権が消費税を増税して以降、長期化しています。これまで外需頼みだった輸出も、アメリカのトランプ政権の関税引き上げなど貿易摩擦の激化で、不安が現実のものになっています。

 個人消費の落ち込みは総務省の家計調査報告でも明らかです。9月の報告では1世帯(2人以上)当たりの消費支出は、物価変動の影響を除いた実質で前月比4・5%、前年同月比で1・6%の減少となりました。同省も「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断を修正しました。

 消費が冷え込んでいる背景には収入が落ち込んでいることがあります。GDP統計でも雇用者報酬は7~9月期の実質で前期比0・5%の減です。家計調査報告でも勤労者世帯(2人以上)の実質実収入は、前年同月比1・5%減少しました。厚生労働省の毎月勤労統計でも9月の実質賃金は、同0・4%のマイナスです。

 大企業や大資産家のもうけを増やすばかりで、賃金など国民の収入は増やさない、安倍政権の経済政策の破綻は明らかです。

増税中止が最良の対策

 安倍政権は来年10月から消費税率を8%から10%に引き上げる増税を強行しようとするとともに、消費落ち込みへの対策として自動車や住宅の購入時の減税や「プレミアム付き」商品券の発行などを検討しています。しかし厳しい財政事情の下で“ばらまき”を拡大しながら増税するのは矛盾です。

 対策をとるぐらいなら消費税の増税を中止すべきです。低所得者ほど負担が重い消費税の増税中止こそ最良の景気対策です。深刻な消費不況が明らかになっても消費税増税に固執する、安倍政権に政権担当の資格はありません。


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