2018年11月14日(水)
入管法改定案 衆院審議入り
資料も出さぬ拙速 問題放置し深刻化
外国人労働者の人権侵害
受け入れ拡大 藤野氏が追及
外国人労働者の受け入れ拡大を目的として、新たな在留資格をつくる出入国管理法改定案が13日、衆院本会議で審議入りしました。野党各党は、外国人技能実習制度などにまん延する法令違反や人権侵害を放置して受け入れ拡大を拙速に進める安倍政権を追及しました。(質問要旨)
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日本共産党の藤野保史議員は、1990年の入管法施行以来、政府が在留資格を次々と追加しながら外国人労働者の受け入れを拡大し、技能実習生、留学生、日系人の建前をとりながら安価な労働力として利用するという本音と建前を使い分ける欺まん的な受け入れを続けてきたと指摘。「もうこれ以上のごまかしはやめるべきだ」と迫りました。
藤野氏は、実習生が借金にしばられ、職場移転の自由もなく、過酷な労働で搾取される問題を告発。法務省が失踪した実習生から集めた「聴取票」は、失踪の動機や月額給与など「実態を知る上で重要な資料だ」と述べ、法案審議の大前提として、聴取票のデータの提出を求めました。
山下貴司法相は、個人情報を含むなどの理由で「(聴取票)そのものの開示には応じられない」と拒否しました。
政府は野党側が繰り返し求めている、受け入れ見込み人数の詳細資料も出していません。ところが13日には複数のメディアが2019年度に最大4万7000人、5年間で最大34万人などとする政府の試算を報じました。
藤野氏は「国会軽視も甚だしい」と批判。具体的な数字と根拠を明確に示すよう重ねて求めました。
安倍晋三首相は「受け入れ見込み数は精査中」「国会審議に資するよう速やかに提出する」などと述べるにとどまりました。
藤野氏は、政府が挙げた「人手不足」の14業種には低賃金と劣悪な労働条件の構造的問題があると指摘。構造的問題を放置したまま外国人労働者の受け入れを拡大すれば「問題を深刻化させるだけだ」と迫りました。
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藤野氏は、法案は詳細を政府に白紙委任するものだと追及。特定技能1号は在留期間が1年ごとの更新制で「外国人の非正規労働者をつくりだすものだ」と批判。「国が雇い止め・整理解雇にお墨付きを与えるものだ」とただしました。安倍首相は指摘のようにはならないと強弁するだけでした。
藤野氏は、外国人労働者の基本的人権が保障される「秩序ある受け入れ」が求められていると主張。改定案による外国人労働者の受け入れ拡大は「日本人労働者の権利と労働条件にも重大な影響を及ぼす」として徹底審議の上、廃案とすることを求めました。