2018年11月5日(月)
主張
軍事費・後年度負担
歯止めなき「借金」膨張やめよ
軍事費で航空機やミサイルなどの高額兵器を購入する際、代金を複数年に分けて「ツケ払い」する「後年度負担」が、安倍晋三政権の下で大きく膨れ上がっています。後年度負担は2018年度当初予算で初めて5兆円を突破し、19年度の概算要求では5兆3000億円を超えることになります。その規模は、軍事費の1年分に匹敵します。後年度負担の膨張は、米国製高額兵器の導入が急増していることが大きな要因となっており、際限のない軍事費の肥大化につながる重大な問題です。
19年度で5兆3000億
防衛省が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や宮本徹衆院議員に明らかにしたところによると、19年度概算要求で軍事費の後年度負担は▽前年度以前に既に契約し翌年度以降に支払う「既定分」の2兆8231億円▽当年度に新たに契約し翌年度以降に支払う「新規分」の2兆5141億円―を合わせて5兆3372億円にも上ります。
軍事費の「借金」と言える後年度負担は、安倍首相が政権に復帰した直前の12年度当初予算では3兆1583億円でした。ところが、安倍政権が編成した13年度予算から19年度概算要求までに「借金」は2兆1789億円も増えることになりました。
後年度負担の拡大は、安倍政権が異常な軍備増強を進めてきたからです。12年度当初予算で4兆7138億円だった軍事費は、19年度概算要求で5兆2986億円に達しています。しかも、19年度概算要求は、例年であれば前年度予算と同額を盛りこむ米軍再編関係経費などについて金額を示さない「事項要求」にしています。18年度予算の米軍再編関係経費など2212億円を含めると、実質的な総額は5兆5000億円を超えることになります。
安倍政権による軍備増強で最大の特徴は、米政府を窓口にして兵器を購入する「対外有償軍事援助(FMS)」の契約が増大していることです。
防衛省が日本共産党の井上哲士参院議員に提出した資料によると、主要兵器などの契約額(中央調達)が最も多いのは、12年度から14年度までは、国内軍事企業の最大手・三菱重工業でした。ところが、15年度から17年度までは米政府がトップになっています。17年度は米政府との契約額3807億円に対し、2位の三菱重工は2457億円となっています。
19年度概算要求でも、最新鋭のステルス戦闘機F35A(6機・916億円)や早期警戒機E2D(2機・544億円)、無人偵察機グローバルホーク(1機・81億円)、ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(2基・2352億円)など、米国製高額兵器の導入が目白押しです。
トランプ米大統領は9月の安倍首相との首脳会談を受け、「日本は膨大な量の軍事装備品を買うことになる」と語っています。
求められる軍縮への転換
安倍政権は年内に、軍事力の在り方や水準を定める新「防衛計画の大綱」と、19年度~23年度までの軍事費の総額や兵器調達の目標などを示す次期「中期防衛力整備計画」を策定しようとしています。国民生活をますます圧迫することになる歯止めのない軍拡にストップをかけ、軍縮への転換を図ることが求められています。