2018年10月16日(火)
柴山文科相、公選法違反疑い
バスツアー参加費記載せず
問われる安倍首相の任命責任
2日に発足した第4次安倍晋三改造内閣の閣僚らに政治資金規正法違反の疑いが相次いで発覚しています。発足早々に、安倍首相の任命責任が問われる事態となりました。
就任早々、「教育勅語は普遍性持っている部分がある」発言で問題となった柴山昌彦文部科学相。同氏の後援会が企画したバスツアーで、後援会員からの参加費が政治資金収支報告書に記載されていないことが15日、わかりました。参加費を集めていなければ、バスツアーにかかった参加者の弁当代など約130万円を柴山氏側が負担したことになり、有権者への利益供与として公職選挙法違反が疑われます。
利益供与が疑われているのは、政治団体「しばやま昌彦後援会」が2016年11月に女性後援会員向けに行った「しばざくら懇親バスツアー」です。
柴山氏のフェイスブックなどによると、ツアーには260人が参加し、貸し切りバスで東京都内の公園や国会などを回るもの。バス代が約88万円、弁当代が約35万円などとなっており、少なくとも132万円がかかっています。
しかし、後援会の政治資金収支報告書には、バスツアーの支出は記載しているものの、参加者からの参加費が収入として記載されていません。
過去には、小渕優子経済産業相(当時)の後援会が催した観劇会で、実際にかかった経費より低い参加費しか徴収しておらず、利益供与した疑惑が浮上。小渕氏は経産相を辞任しました。
本紙の取材に柴山氏の事務所は「明日(16日)の閣議後の定例記者会見で説明したい」として、回答をさけました。また同年4月に開いた「内閣総理大臣補佐官就任を祝う会」についても、支出はあるものの会費の記載が同後援会の収支報告書にありませんでした。
神戸学院大学法学部の上脇博之教授は「参加費を集めていないのであれば、参加者は丸々、利益を得たことになる。選挙区内の有権者であれば、違法な寄付にあたります。仮に柴山氏が『記載漏れだった』と説明しても、政治資金規正法で不記載と虚偽記載は5年以下の禁錮となっており、重い罪です。過去に小渕経産相が辞任した先例があるのだから、安倍晋三首相はこうした過去の政治判断を踏襲すべきだ」と指摘します。