2018年10月6日(土)
主張
北海道地震1カ月
被災者の支援を政治の責任で
41人が亡くなり、全道の停電などで道民に重大な被害をもたらした北海道地震から、1カ月です。5日朝には余震とみられる震度5弱の揺れが発生するなど、住民の不安や懸念は尽きません。朝晩の冷え込みが強まる中、被災者への生活支援はいよいよ欠かせません。西日本豪雨からも3カ月、相次ぐ台風による被害も全国各地で続くもとで、災害大国の政治の姿勢が問われています。
冬場への対策を万全に
北海道地震では、最大震度7が観測された厚真(あつま)町など胆振(いぶり)地方を中心に避難者は400人を超え、それ以外にも自宅などで不自由な生活を強いられている人も数多くいます。早朝気温が10度以下の日が増えており、避難所では夜は毛布を3枚かけているとの声や、ストーブなど暖房器具の追加要望も出されています。避難生活が長引けば健康を損なう心配が絶えません。損傷した家屋の雪害対策も不可欠です。全ての被災者が安心して冬を越せるよう、国や自治体は万全の支援を強めるときです。
電力供給への不安も消えません。全道295万戸が停電するという前代未聞の事態によって、道内の酪農家は出荷ができない生乳の大量廃棄に追い込まれるなど、甚大な被害を受けました。全道停電を招いた原因解明と、被害への補償など北海道電力の姿勢をただすこととあわせ、冬場に向けた電力の安定供給に責任を果たさせることが欠かせません。
生活再建への道筋を確かなものにするために、住環境を整えることは重要課題の一つです。住み慣れた地域で安心して暮らせるよう応急仮設住宅の建設や、賃貸住宅を借り受ける「みなし仮設住宅」の提供が急がれます。
地震と液状化などで多くの建物被害があったにもかかわらず、住宅再建への支援は大きく立ち遅れています。現在の生活再建支援法では支援の対象が全壊か大規模半壊に限られ、半壊や一部損壊には適用されません。一部損壊の被害が多いため、いまのままでは被災者の85%が支援金を受け取れず、仮設住宅にも入れないといわれます。その支援金も1世帯で最大300万円にとどまり、現状と見合っていません。
6月の大阪北部地震や、7月の西日本豪雨などでも多くの住宅被害がありましたが、国の支援対象から除外されている被災者からは強く改善を求める声が上がっています。
日本共産党などの野党は一致して、生活再建支援法の適用対象を拡大し、支援額の上限を現行300万円から500万円に引き上げる改正案を国会に共同提出しています。改正案を一刻も早く審議、成立させることがいよいよ急務になっています。
臨時国会で議論急げ
西日本豪雨では被害が集中した広島、岡山、愛媛3県で約5千世帯が仮設住宅や避難所などで暮らし、復旧・復興はまだまだこれからです。強風や高潮で大きな被害を生んだ台風21号をはじめ次々襲来する台風も深い爪痕を残しています。台風25号の影響も心配されています。これだけ大規模な災害が続発する中で、被災者への緊急支援などとあわせ、本格的な対策を講じることが政治の役割です。安倍晋三政権は臨時国会を速やかに召集し、議論を行うことが必要です。