2018年10月5日(金)
戦争被害補償 市民も
「南洋戦」訴訟控訴審 弁論始まる
高裁那覇支部
|
サイパンなど旧南洋諸島やフィリピンで太平洋戦争の壮絶な地上戦に巻き込まれた民間戦争被害者と遺族が国に謝罪と損害賠償を求めている「南洋戦」訴訟の控訴審で、第1回口頭弁論が3日、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)でありました。
瑞慶山(ずけやま)茂原告弁護団長は意見陳述で、明治憲法下の国家の権力的行為について国は責任を負わないとする「国家無答責」を理由に、原告側の訴えを退けた一審判決を批判。「明治憲法下で明文の規定にない法理を持ち出して国の責任をことごとく否定し、加害行為者である国を免罪した」と述べました。
戦争損害に関し、国家無答責を適用した最高裁判例などはないとし、根拠のなさを指摘しました。
戦中の負傷やマラリア罹患(りかん)で「後遺症は今も続いている」という原告団長の柳田虎一郎さん(80)=静岡県生まれ、那覇市在住=が陳述しました。
父親の転勤のためパラオのガスパン村に引っ越し、戦争では母親、弟、妹を亡くしたと語り、「他国の戦争被害者は幼児から老人まで全ての人々に手厚く被害補償されているのに、なぜ日本は民間被害者に補償しないのか」と被害者全てに謝罪と賠償を敏速に行うよう求めました。次回は11月1日です。