2018年10月4日(木)
改造内閣、沖縄知事選、憲法問題、野党共闘で論戦
BSフジ番組で小池書記局長
日本共産党の小池晃書記局長は2日放送のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、同日安倍晋三首相が行った内閣改造・自民党役員人事や秋の臨時国会の焦点課題、野党共闘などについて、立憲民主党の長妻昭代表代行、自民党の山本有二元農水相と議論を交わしました。
改造内閣
「閉店セール内閣」
今回の改造内閣・党役員人事について小池氏は「安倍首相は『全員野球内閣』というが、政権の幕引きが近い『閉店セール内閣』だ。しかも首相と同じ毛色の“右バッター”(右派政治家)が多い」と指摘。公明党の石井啓一国交相を除く閣僚19人が改憲右翼団体と連携する「日本会議国会議員懇談会」や「神道政治連盟国会議員懇談会」に加盟していることをあげ、「改憲に向けた首相の執念が見える布陣だ」と指摘するとともに、公文書改ざんなどの重大責任を負う麻生太郎氏が財務相に留任している点を厳しく批判しました。
自民・山本氏は「『土台頑丈内閣』だ。みじんの揺るぎもない内閣であることは間違いない」と自賛し、麻生氏について「トランプ米大統領に何となく似ていて、そういうタイプの政治家も待望されている。安倍首相ともがっちり合って、恩や義理に厚い人だ」と言い放ちました。小池氏は「財務省の公文書改ざんや虚偽答弁の問題で自殺者まで出たのに、麻生氏は何の責任もとらず居座ったままでいいのか。(安倍政権の)『土台』はぐらぐらではないか」と、安倍政権退陣を求めて徹底的にたたかう決意を表明しました。
入閣した13人中、女性が片山さつき地方創生相1人しか就いていない点も話題に。安倍首相は内閣改造後の記者会見で、海外メディアからこの点を指摘されたのに対し、「片山さんには2人分、3人分、発信力を持って仕事をしていただけると期待」すると述べました。
小池氏は「首相は『全員野球内閣』といいながら、なぜ女性にだけ2~3人分の働きを求めるのか。どんな分野においても女性は苦労しており、何人分も働かなければならない状況を変えるのが政治の責任だ」と批判。自民・山本氏は「女性活躍」を脇に置いて、入閣した男性議員たちの当選回数やキャリアを考慮した結果だと開き直りました。
デニー氏大勝
民意受け止め新基地断念を
沖縄県知事選で「オール沖縄」の玉城デニー氏が官邸丸抱えの佐喜真淳氏に大勝した結果をどうみるかがテーマになりました。
小池氏は、「辺野古に新基地は絶対につくらせない」と訴えて8万票の大差をつけた玉城氏の勝利によって「『新しい基地を受け入れない』という県民の民意は明白だ。これを無視して安倍政権が新基地建設を強行するのは絶対に許されない」と強調。「大浦湾の軟弱地盤や活断層の問題があり、大幅な設計変更をしない限りは新基地はつくれない。デニー氏はそれを認めないから新基地建設は不可能だ。そのことを政府はしっかり受け止めて、新基地建設を断念すべきだ」と主張しました。
敗因を問われた自民・山本氏は「アベノミクスが唯一届いているのが沖縄。東京都の去年の成長率より沖縄の経済成長率が高い」などと強弁しました。
これに対し小池氏は「知事選で相手陣営は“沖縄は経済も全国最下位”とまるで翁長県政の責任であるかのようなまったく事実と違う宣伝をしたではないか」と一喝。沖縄県民所得の伸び率が高くなっているのはアベノミクスではなく、基地依存から脱却する翁長県政のもとで基地返還の経済効果が発揮されたものだと反論し、沖縄振興予算の削減などいやがらせをきっぱりやめるべきだと強調しました。
日米物品貿易協定
経済主権売り渡す日米2国間協定
先の日米首脳会談で安倍首相がトランプ大統領と合意した日米物品貿易協定(TAG)の交渉入りについて自民・山本氏は「交渉期間中には(自動車の高関税は)25%にしないとの約束がとれた」などと発言しました。
小池氏は「(今回の合意は)経済主権を丸ごと米国に売り渡すものだ」と批判。発表された日米共同声明には“自動車に高関税はかけない”と一言も書かれていないどころか、トランプ大統領が“交渉拒否なら日本車に高関税措置を課すつもりだ”と日本側に要求をのませた経緯を明らかにしていると指摘。「結局、2国間のFTA(自由貿易協定)に進むことで、TPP(環太平洋連携協定)以上の果実を米国は手に入れられるということではないか」「日本は煮えたぎった鍋に、カモがネギをしょって飛び込むようなものだ」と追及すると、自民・山本氏は「日米の交渉はフレンドシップでやっている」というだけでした。
自民党改憲案
国民は改憲望まず
安倍首相が秋の臨時国会に自衛隊明記の自民党改憲案を提出する考えを示していることについて、立民・長妻氏は「自衛隊と書き込むと武力行使の限界が大きく変わって、集団的自衛権がフルスペック(包括的)に認められる余地も出てくる」と反対を表明しました。
小池氏は、安倍首相のもとで、世論調査で9条改憲反対の声は増えており、改憲を求める世論は今や少数だと指摘。9条の例外として自衛隊を明記すれば「戦力不保持の9条2項の規定が適用されず、国際法上認められない戦争以外はすべてできる軍隊になる」と警鐘を鳴らし、改憲案の提出そのものに断固反対する立場を表明しました。
野党共闘
政党同士の責任で
「オール沖縄」を中心に国政野党が支援するたたかいを展開した今回の沖縄県知事選を振り返りながら、野党として来年の統一地方選・参院選をどうたたかうかもテーマになりました。
立民・長妻氏は「参院選1人区では、政党が前面に出るというよりは、住民が主役になっていくボトムアップを模索していきたい」と述べました。
小池氏は、「沖縄の選挙の“勝利の方程式”は、『辺野古新基地反対』という明確な旗印を掲げ、本気で共闘したこと。市民のみなさんとよく議論するのはもちろんだが、国政選挙では、政党同士できちんと責任をもって合意をつくっていかないといけない。そういう議論を進めていきたい」と語りました。
最後に「安倍新政権に望むもの」を問われた小池氏は、「早期退陣」と書いたフリップを掲げ、「早期に退陣させることが日本の幸福につながる。臨時国会でがんばり、追い込みたい」と述べました。