2018年9月29日(土)
労災補償なし 2次利用 対価なし
俳優の地位向上へ交流
日俳連などシンポ
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日本の実演家の職場環境を認識し、芸能界の健全化と俳優たちの地位の向上のために、諸外国の取り組みから学ぼうと、国際俳優連合と日本俳優連合(西田敏行理事長)が主催して「俳優の仕事と地位に関する国際間対話」シンポジウムが27日、東京都内で開かれました。俳優や声優、市民など400人近くが集まりました。
日本の現状を、声優の羽佐間道夫さん(日俳連副理事長)、俳優の内田勝正さん(同)が報告し、弁護士の藤原浩さんが著作権法上の問題を指摘しました。
羽佐間さんは、「芸術家の地位に関するユネスコ勧告」(1980年)において、社会保障を与えられるべきだとあるにもかかわらず、日本では労災補償もなく、「一般労働者よりけがや災害の危険が多いが、大きな事故が起きても示談が精いっぱい」だと話しました。
内田さんは映像の再利用(2次利用)について、番組の再放送やDVD化、インターネット配信などの際に、出演した俳優には一切権利が生じないと告発。「音楽の2次利用では使用料が支払われる。再利用されれば俳優にも対価を支払うのが大前提ではないのか」と述べました。
海外の参加者からは、実演家の権利を守るための法的枠組みや芸能事務所のあり方、労働組合の団体交渉などが報告されました。
日俳連専務理事の池水通洋さん(声優)は、「日本が諸外国からいかに遅れているか明らかになった。雇用者側とも話し合う場を作り、お互いの利益になる連携を模索したい」と話しました。