2018年9月27日(木)
主張
東海第2原発審査
再稼働の推進でなく廃炉こそ
原子力規制委員会は、日本原子力発電(日本原電)の東海第2原発(茨城県東海村)について、「安全対策」で新規制基準を満たしたとする審査書を決定しました。同原発は、東日本大震災の際、地震や津波で外部電源を失うなど重大事故寸前に陥って以来、停止していたものです。11月末には40年間の運転期限を迎える老朽原発でもあります。運転延長などの審査も大詰めの中で、規制委が事実上の「合格」を出したことは重大です。多くの周辺自治体では避難計画が作られていません。住民を危険にさらす再稼働に突き進むことは許されません。
地元の不安は消えず
2012年の原子炉等規制法の改定で、原発を運転できる期間を原則40年と決めたのは、7年半前の東京電力福島第1原発の甚大な事故をうけたものです。原発そのものが未完成の技術で、地震や津波に襲われれば、計り知れない深刻な被害を招くことは、福島第1原発事故がいまだ収束すら見通せないことからも明らかです。
40年運転を続ければ原子炉などの劣化が避けられません。それをさらに延長するとなれば原子炉はもろくなり、機器や配管が発電の起動・停止の繰り返しで疲労がすすみます。1回に限り20年を超えない期間延長ができるとしたものの、それは極めて限定的と政府は説明していました。
ところが、規制委は関西電力の高浜1、2号機、美浜3号機(いずれも福井県)という40年超の原発の運転延長を認めてきました。「例外」を「通常」にして再稼働を推進するのは大問題です。
しかも、東海第2原発は事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉です。沸騰水型炉は原子炉を覆う格納容器が極めて小さく、事故が起きて炉心がひとたび溶融すると、容器が破損する恐れが高いといわれています。この沸騰水型を、東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)に続いて「合格」させるのはあまりに危険です。
日本原電が東海第2原発の再稼働を狙うのは、原電にとって稼働できる原発が同原発しかなく、動かさないと経営困難が続くためです。すでに「安全対策」の費用約1740億円もまかなえず、東京電力などから支援を受けるとしていますが、東電が福島事故を起こしたことに反省もなく、老朽原発を支えるための資金を出すことに批判が広がっています。
東海第2原発の半径30キロ圏内には約96万人が住んでいます。首都圏で唯一の原発でもあります。
原電は水戸市など周辺5市と、再稼働に実質的な事前了解を得る協定を締結しましたが、地元合意は簡単にはいきません。水戸市議会が「実効性を伴う広域避難計画の策定も十分とは言えない」として、「住民理解のない再稼働を認めないことを求める意見書」を可決するなど不安は払しょくされていません。再稼働が住民の声に反していることは明白です。
国民の批判受け止めよ
規制委が行った意見募集には東海第2原発を「合格」させることへの批判が多数寄せられました。深刻な問題と矛盾しかない東海第2原発は再稼働するのでなく、廃炉こそ決断すべきです。
安倍晋三政権による再稼働路線を許さず、「原発ゼロ」を実現する政治への転換こそ必要です。