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2018年9月22日(土)

多数口座から流出

テックビューロ 仮想通貨67億円

暗号鍵盗まれた? 問われる管理

 大手仮想通貨交換業者テックビューロが20日に公表した仮想通貨の流出は、67億円という膨大な被害となっています。

 流出したとされるビットコイン(単位はBTC)、ビットコインキャッシュ(同BCH)、モナコイン(同MONA)はいずれもブロックチェーン(分散型台帳)という技術でできており、すべての取引記録がインターネットで公開されています。取引記録のかたまり(ブロック)を調べることで送金の流れがわかります。本紙が不正流出を追跡しました。

 テックビューロの発表によると、不正流出が発生したのは14日17時ごろです。その時間の送金記録を調べると、次のようになります。

ビットコイン

 14日17時33分に作成されたブロック(541368)に記録されている取引において、特定のアドレス(仮想通貨における口座)に対し131の口座から、合わせて5000BTCが送金されていました。その後、15日13時33分まで1726口座(重複を除くと696口座)から、同じ口座に5966BTCが送金されています。これは、テックビューロが公表したビットコイン流出量(5966BTC)と同じです。この口座への流出が、不正アクセスによるものだと考えられます。

ビットコインキャッシュ

 14日17時33分、同36分、同51分に作られたブロックに記録されている取引のうち10件が、同じ口座あてでした。送金量は10件合わせて4万2340BCHです。送金元は重複を除くと540口座でした。

 現在、それぞれの仮想通貨は1BTC=約70万円、1BCH=約5万円で取引されています。被害額はこの二つで約62億円となります。モナコインの時価総額は世界全体で50億円程度ですから、流出額は多くても数億円とみられます。62億円と合わせると、テックビューロが発表した流出額67億円に相当します。

 1月に580億円の仮想通貨を流出させたコインチェック事件との違いは、流出元の口座の数です。コインチェックの場合は顧客の資産をまとめて一つの口座で保管しており、そっくり盗まれました。一方、今回の事件では顧客のものとみられる多数の口座から流出しています。

 コインチェックの場合は仮想通貨を保管していた口座から送金を行うために必要な暗号鍵を犯人側に盗まれたことで被害が発生しました。今回は顧客の口座から送金されたことから考えると、多数の暗号鍵が盗まれた恐れがあります。あるいは、どの口座にも共通の暗号鍵を使うといったずさんな運用をしていた可能性もあります。

 これらの点についてテックビューロに文書で質問しましたが、「回答はさしひかえる」とのことでした。

 いずれにせよ、テックビューロの資産管理の実態が問われることになります。

 (仮想通貨取材班)


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