2018年9月20日(木)
南北首脳 平和と非核化で「共同宣言」
一切の敵対行為の中止 核・ミサイル施設廃棄も明記
【ソウル=栗原千鶴】北朝鮮の首都・平壌で会談した金正恩(キムジョンウン)国務委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は19日、朝鮮半島の非核化に向けたミサイル実験場の永久的廃棄などを盛り込んだ「9月平壌共同宣言」に署名しました。同行した国防担当相が署名した「軍事分野合意書」では南北間の敵対行為の中止、軍事的緊張緩和の具体的な方策が盛り込まれました。今回の南北の合意文書は、休戦状態だった朝鮮戦争(1950~53年)の実質的な終戦宣言とも受け取れる内容となりました。
宣言は、「朝鮮半島を核兵器と核脅威がない平和の地にしていくべきであり、このために必要な実質的な進展を速やかに成し遂げるべきだということで認識を共にした」としており、両首脳は朝鮮半島の非核化に向けた意志を示しました。
宣言の中で、北朝鮮側は「東倉里エンジン実験場とミサイル発射台を関係国の専門家の立ち会いの下にまず永久的に廃棄する」と約束。米国が6月の米朝共同声明の精神に沿って相応の措置を取るならば「寧辺核施設の永久的廃棄のような追加的措置」を取る用意も表明しました。
また宣言の付属合意書として、韓国の宋永武(ソンヨンム)国防相と北朝鮮の努光鉄(ノグァンチョル)人民武力相が、「歴史的な『板門店宣言』の履行のための軍事分野合意書」に署名しました。合意書は「朝鮮半島全域での実質的な戦争脅威の除去と、根本的な敵対関係解消につなげるため、非武装地帯などでの軍事的敵対関係の終息を目指す」と表明。具体的に、非武装地帯内の相互1キロ以内にある監視所を完全に撤収することや板門店共同警備区域を非武装化することなどとし、「宣言」では「合意書」の徹底的な順守をうたいました。
宣言には、金氏が北朝鮮の最高指導者として初めて近くソウルを訪問する合意も盛り込まれています。
署名後、共同記者会見に臨んだ文氏は、「南北が初めて非核化の方策について合意した。朝鮮半島の非核化もそう遠くない」との認識を表明。さらに「これからも米国など、国際社会と緊密に協力していくつもりだ。私たちの役割も重くなった。国民の信頼と支持が、いつにも増して切実だ」と語りました。
一方、金氏は「民族的な和解と平和繁栄の新しい時代をつくるために、いまある問題を、心を開いて議論した」と会談を振り返り、「数十年の間続いてきた対決と敵対の歴史を終えるための軍事分野の合意書を採択し、朝鮮半島を核兵器も核脅威もない平和の地にしていくために、積極的に努力していくことを確約した」と強調しました。