2018年9月14日(金)
厚労省が労働施策方針案
労基法外の就労拡大
雇用の安定壊す危険
厚生労働省は13日、労働政策審議会の労働施策基本方針部会に、今後の労働施策にかかわる基本方針案を提案しました。
通常国会で成立した「働き方改革」一括法では、雇用対策法を「労働施策総合推進法」に改定。「労働者の多様な事情に応じた雇用」や「労働生産性の向上」などの目的をふまえ基本方針を定めることになりました。雇用の安定などこれまでの雇用政策を変質させる危険な動きです。
基本事項として、労働環境整備や多様な就業形態の普及、転職・再就職支援など7項目で方針を出しました。
長時間労働の是正について、一括法で設けた過労死ライン容認の上限規制の徹底などにとどまりました。
最低賃金では「年率3%を目途(めど)」に引き上げ、「全国加重平均で1000円」をめざすと明記。目標は示さず、拡大する地域間格差の是正・解消にはふれていません。
「柔軟な働き方」の拡大を打ち出し、労働基準法などが適用されない「雇用類似の働き方」の拡大に向けて「法的保護の必要性を含めて中長期的に検討する」とし、その受け皿の一つとなる「副業・兼業」についても普及促進を図るとしました。
多様な人材の活躍を促進するとして、高齢者では、再就職の促進とあわせて、労働者保護が適用されないシルバー人材センターによる就業支援の強化を打ち出しました。外国人材では、人手不足の深刻化を理由に「幅広く受け入れていく仕組みを構築する」と明記し、一層の拡大をめざす方向です。
「多様な働き方の推進や円滑な労働移動の支援」にむけて、職業能力評価の「整備」を掲げました。転職・再就職では、リストラの手法として活用されているにもかかわらず、「離職を余儀なくされる労働者等の円滑な労働移動を支援する」としました。