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2018年9月4日(火)

きょうの潮流

 思い出に残る弁当はありますか。親が毎日のように作ってくれた弁当、慌ただしい朝に子どもに作った弁当、友達とおかずを交換した遠足の日の弁当、運動会の校庭で家族と広げた弁当▼上野の東京都美術館で開催中の「BENTO おべんとう展」では、弁当の持つさまざまな可能性を提示しています。「BENTO」とあるのは、弁当が日本独自の文化として認識され世界共通語となっていることから▼美術家・小山田(こやまだ)徹さんの作品「お父ちゃん弁当」は、幼稚園に通う息子の弁当を小学2年生の娘と共同で作り続けた記録です。朝起きたら娘が絵を描き、それを基に父が15分ほどで調理。「噴火」「天の川」「たいふう」といった意表を突く絵を、ご飯の上に卵やのり、色とりどりの野菜をあしらい出現させます▼「おすそわけ横丁」と題した空間を制作した美術家の北澤潤さんは、人が集まり車座になって弁当を分け合うことで、互いを拘束しない緩やかな共同体がつくられるのではないか、と示唆します▼旬の食材を使って種々のおかずを作り、小さな箱に工夫して彩りよく詰め込む作業は、その人ならではの表現であり、作った人と食べる人をつなぐコミュニケーションでもあります。弁当をきっかけに、食の安全や食料自給率、食品廃棄物、プラスチックの過剰包装などについて考えが及んでいくこともあるでしょう▼行先ちがふ弁当四つ秋日和(松永典子)。新学期も始まり、行楽の季節もやってきます。弁当作りを楽しんでみませんか。


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