2018年8月29日(水)
きょうの潮流
夏休みが終わり、2学期が始まる時期です。友達に会うのが楽しみな子がいる一方、学校に行くのがつらいと苦しんでいる子たちがいます▼中学校でいじめを受けた20代の女性は「8月後半になると体調が悪くなった。親にも相談できず逃げ場がなかったけど、保健の先生が親身に話を聞いてくれて救われた」と振り返ります。相談しやすい関係を作り、思いに寄り添うことの大切さを教えられます▼学校の人間関係、勉強、いじめ…。悩みを抱える子にとって新学期は、さらなる苦しみの始まりです。政府の「自殺対策白書」によると、18歳以下の自殺は9月1日とその前後が突出して多くなっています▼そうした中、子どもの居場所になろうとする動きが広がっています。東京・三鷹市立図書館は「つらい気持ちを抱えているきみへ」という企画展示を開催中。「友達とうまくいかない」などの悩みに寄り添った本を集め「図書館で待っているよ」と呼びかけています▼以前話を聞いた30代の男性は「学校に行けなかったとき、図書館に通いました。おとなが『学校は?』などと声をかけず、そっと見守ってくれたからこそ今の僕があると感謝しています」と話していました▼死にたくなるほどつらいなら、学校に行かなくてもいいよ。他にいろんな選択肢があるから、将来を心配する必要はないよ―。そんなふうに自信をもって子どもに言えるように、学校や社会の環境を改善することが不可欠です。なによりも大切な子どもの命を守るために。