2018年8月25日(土)
生活保護実態学びありかたを考える
地方議員ら研修会 鹿児島
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生活保護制度の現状や貧困の実態を学び、制度のありかたを考える地方議員研修会が24日、鹿児島市内で始まりました。全国各地から160人余りが参加しました。
法律家らでつくる生活保護問題対策全国会議と、生活保護ケースワーカーや研究者らでつくる全国公的扶助研究会が共催し、25日までの予定です。
全国公的扶助研究会の吉永純会長(花園大学教授)は基調報告で、日本は保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している人の割合(捕捉率)が非常に低い状態にあると紹介。厚生労働省が5月に示した推計では、保護基準以下の所得で暮らす世帯のうち実際に利用していた世帯は2割程度(2016年)にとどまっていることをあげ、「保護水準くらいの(所得の)人の中でもわずかな人しか利用できていないのは政府統計でも明らかだ」と述べ、生活保護制度が十分機能していない実態を報告しました。
捕捉率が低い原因については、わずかな貯金でもあれば利用が始められないなど資産条件が厳しいことがあると強調。フランスでは貯金保有額も問われずに保護が利用できるなど他国の利用条件を示し、「生活保護について、日本はあまりにも世界から遅れている」と語りました。
吉永氏はまた、安倍政権の10月からの保護費削減方針を厳しく批判するとともに、実際に引き下げられることになれば保護基準は低所得世帯向け施策の基準に連動しているため、子どもの学用品代などを補助する各自治体の就学援助制度の対象者も狭められる可能性があると指摘。「就学援助は貧困対策の根幹の事業です。対象が狭められることがないように議会で取り上げていただきたい」と呼びかけました。