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2018年8月19日(日)

本紙スクープが受賞 JCJ賞贈賞式

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(写真)JCJ賞贈賞式で表彰を受けた小木曽陽司赤旗編集局長(右)と竹下岳政治部副部長(中央)=18日、日本プレスセンタービル

 すぐれた報道を表彰する2018年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞の贈賞式が18日に都内で開かれ、「しんぶん赤旗」政治部・外信部による「米の核削減、日本が反対」「沖縄への核貯蔵庫建設を肯定」(3月4日、5日付)などの一連のスクープがJCJ賞を受賞しました。「赤旗」の同賞受賞は、14年の日曜版編集部による「ブラック企業連続追及」以来です。贈賞式では、小木曽陽司赤旗編集局長と竹下岳政治部副部長が賞状などを受け取り、竹下副部長が受賞スピーチを行いました。

 酒井憲太郎選考委員は、米オバマ前政権の核削減に反対し沖縄への核貯蔵庫建設を肯定する秋葉剛男現外務次官の証言を暴いた本紙報道について「『核の傘』、核抑止論がいかに危険かを実証している。この報道は他紙で相次ぎ、国会でも大きな反響を呼んだ。核兵器禁止条約に反対する日本政府の源流も示しており、こうした政府の立場にきちんとメスを入れたことを評価したい」と講評しました。

 JCJ賞はこのほかに▽梅田正己「日本ナショナリズムの歴史」▽朝日新聞「財務省による公文書改ざん」▽沖縄タイムス「沖縄へのデマ・ヘイト」▽日本テレビ「南京事件II」―に贈られました。今年度の選考は「例年になく議論が白熱するほどの力作ばかりだった」(伊藤洋子選考委員)として、大賞は見送られました。

 記念講演で国際弁護士の猿田佐世氏が登壇し、「素晴らしいジャーナリズム活動に敬意を表します。これからも各社の独自報道・調査報道に期待します」と述べました。


JCJ賞を受賞して

竹下岳赤旗政治部副部長のスピーチ(要旨)

“日米核態勢の闇”追及 今後も

 18日に行われたJCJ贈賞式での竹下岳・赤旗政治部副部長のスピーチ(要旨)を紹介します。

 私は「しんぶん赤旗」政治部で長く外交・安全保障問題を担当しており、中でも日米同盟をめぐる動きは最大の取材テーマです。こうしたことから、日米同盟の「抑止力」の根幹である米国の核の脅し=いわゆる「拡大抑止」、あるいは「核の傘」に関して本腰を入れて追及したいとの思いを持っていました。史上初めて、核兵器を違法化する核兵器禁止条約の国連での採択の動きも大きな動機となりました。

 今回の報道の材料となった一連の文書は、米国の科学者団体「憂慮する科学者同盟」の上級アナリストを務めるグレゴリー・カラーキー氏から提供を受けたものです。中国の専門家で、米国務省や米議会に幅広い人脈を有する人です。

 中国の専門家である同氏が日米の核態勢に関心を持っているのは、日本が米中接近の妨害者だからだと言います。実際、日本において、「核抑止」の政策的な議論が行われるきっかけになったのは、1964年の中国の核実験以降です。今回の報道で明らかにした日本側の文書発言でも、「米国がロシアとの核軍縮対話に関与する場合、つねに中国の核軍拡・近代化に留意すべきである」とクギを刺しています。

米と核共有日本が提案

 カラーキー氏は昨年12月、都内で開かれたある学習会に出席し、2013年に、日米核協議を主導してきた秋葉剛男氏(当時は外務省北米局審議官)と面談した際、秋葉氏が米国との「核共有」(ニュークリア・シェアリング)を提案していたことを明らかにしました。これは、平時に米軍が核兵器を管理し、有事に同盟国が管理権を有する仕組みです。在日米軍基地への戦術核兵器配備を前提にしており、国是である「非核三原則」に真っ向から反します。

 秋葉氏は外務官僚のトップである外務事務次官への昇任が内定(今年1月に昇任)していたことから、この発言の背景をさらに掘り下げる必要があると判断。カラーキー氏とやりとりを行う中で、今回、報道した文書が提供されました。

 これを見て、強い衝撃を受けました。日本政府関係者が米軍の核巡航ミサイル・トマホークの退役に反対していたということは、09年当時、「関係者の証言」として一部で報じられましたが、そうした発言が文字として記録されていたのです。さらに、秋葉氏が沖縄への核貯蔵庫建設に肯定的な見解を示していることが初めて明らかになりました。

核なき世界日本が妨害

 オバマ政権の「核兵器のない世界」への動きは大きく失速しました。その背景として、同盟国、とりわけ日本の妨害がきわめて大きかった、とカラーキー氏は話していました。

 事はオバマ政権への妨害にとどまりません。秋葉氏らは核態勢に関する日米の公式協議の常設に成功し、現在まで「日米核抑止協議」として続いています。

 トランプ政権が今年2月に発表した新たな核戦略指針「核態勢の見直し(NPR)」では、核トマホークに代わる新たな核兵器の開発が明記され、日本政府はただちに「歓迎」声明を出しました。

 日本政府は「中国脅威論」に立脚し、「核戦力」を含む日米同盟の強化を図っています。こうした動きは北東アジアの軍事的な緊張を高め、朝鮮半島の非核化を妨害します。逆に日本政府が米国の「核の傘」依存から抜け出せば、朝鮮半島の非核化を後押しし、日米中3カ国の関係にも肯定的な影響を与えます。日米核態勢の闇を明らかにする努力は、今後とも続けていく必要があります。


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