2018年8月11日(土)
長崎原爆の日追悼
独空軍基地前 断食や集会
政府に核兵器禁止条約署名要求
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【ビューヒェル(ドイツ南西部)=伊藤寿庸】長崎原爆の日の9日、ドイツ南西部のビューヒェル独空軍基地前で平和活動家による断食行動と集会が行われ、核兵器の廃絶と同基地からの核兵器撤去を求めました。
基地正門前では、キリスト教平和運動団体の「国際友和会」の地元支部などが主催して、ドイツ時間で長崎原爆投下の午前11時2分を期して集会を開始。犠牲者を悼むとともに、折り鶴に書かれた原爆犠牲者の名前を参加者が読み上げ、一羽一羽フェンスに取り付けました。
断食した人を含め、参加者はスピーチに耳を傾け、賛美歌を歌いました。その間、基地の中では爆音を立てて戦闘機が繰り返し離着陸します。
米国から参加したスーザン・クレインさん(70)は、「米国は世界を脅迫する核兵器を置いているが、ここで行動に参加して勇気をもらった」と発言。仏国境に近いザールブリュッケンから2時間かけて参加した女性は、「ドイツは国連の核兵器禁止条約に署名せよ」と手書きのゼッケンで訴えました。
ビューヒェル空軍基地には、北大西洋条約機構(NATO)の核共有協定に基づいて約20発の米国の核兵器が置かれています。独空軍機に搭載して核攻撃を行う計画です。
主催者の一人マティアス・エンゲルケ牧師(60)は、9年前に6日から9日にかけて断食を行って以来、ビューヒェルからの核兵器撤去を求めて毎年1日ずつ期間を延ばすことを決め、今年は7月28日から断食を始めました。
「人々の良心に働き掛ける方法を見つけなければならない。特に兵士は、国際法に反するので核兵器使用任務を拒否するといえるはずだ。平和運動は兵士を味方につけなければならない」と語ります。
基地正門近くの空き地では3月以来20週間にわたって、平和キャンプ村が設置され、さまざまな反核行動が取り組まれました。この日はその最後の行動となりました。