2018年8月1日(水)
防衛省 PAC3撤収
北朝鮮情勢の激変受け
矛盾する陸上イージスの導入
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防衛省は7月30日、北朝鮮による弾道ミサイル発射の可能性が低下したとして、北海道と広島、島根、愛媛、高知各県に展開している航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)を撤収し、東京・市谷の防衛省にあるPAC3も所属施設に移動しました。南北、米朝首脳会談の相次ぐ実現など北朝鮮情勢の激変を受けての判断です。
一方、防衛省は本体の導入経費だけで1基1340億円もする陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(陸上イージス)を2基配備する方針。陸上イージスの配備方針は、北朝鮮情勢の変化に対応したイージス艦の展開解除やPAC3の撤収とも大きく矛盾する巨額の無駄遣いであり、その是非が厳しく問われます。
PAC3は、北朝鮮が昨年8月に米領グアム島周辺へのミサイル発射計画を公表した際、上空通過の可能性がある4県の駐屯地に展開され、同8、9両月には北海道の上空を北朝鮮ミサイルが通過したとして、函館市にも配備されていました。
同省は情勢に変化があればPAC3を再配備するとしており、2016年8月以降発動中の破壊措置命令も維持します。
日本のミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦搭載のミサイルで迎撃し、失敗した場合はPAC3で撃ち落とすというもの。しかしイージス艦の日本海での常時展開は6月末に解除されており、日本上空を大気圏外で通過する弾道ミサイルには届かないPAC3の配備は事実上意味のないものとなっていました。