2018年7月21日(土)
カジノ実施法案への大門参院議員の反対討論
日本共産党の大門実紀史議員がカジノ実施法案に対して20日の参院本会議で行った反対討論(要旨)は以下の通りです。
日本はすでにパチンコと公営ギャンブルを合わせ、市場規模が27兆円にものぼるギャンブル大国です。ギャンブル依存症も300万人をこえ、深刻な社会問題を引き起こしています。今回の「カジノ実施法」は、刑法で禁じられてきた犯罪行為である民営賭博を解禁し、依存症をさらに増やします。
西日本豪雨の深刻な被害が広がるなか、政府の対応も国会審議も被災者支援の一点に全力を集中すべき時に、かくもおぞましい法案の審議に時間を割き、強行することは、被災者の方々の願いに背くだけでなく、国会全体の権威を著しくおとしめるものであり、厳重に抗議します。
反対の第一の理由は、立法の動機が不純で、害悪だけをまきちらす「売国」法案だからです。
本法案のもとになる「カジノ解禁推進法」の提案者だった自民党や維新の会の衆院議員が、米国のカジノ企業関係者から、パーティー券購入の形で資金提供を受けていたことが報じられ、その一人である西村官房副長官は内閣委員会で、資金提供の事実を認めました。本法案の立法事実にも関わります。疑惑の解明にふたをしたまま、本法案を強行するなど、絶対に許されません。
政府与党は、つくるのはIR(統合型リゾート)でカジノはその一部だと言い続けてきましたが、それは違います。諸外国のIRでは、カジノに併設している宿泊、娯楽、会議施設などは、カジノに人を集めるための集客装置としてつくられ、IR全体がカジノのために存在しています。
カジノは、人のお金を巻きあげるだけで、付加価値をうみません。ギャンブル依存症を増やせば増やすほどもうかるビジネスなど、まともな人間のやることではありません。
カジノのターゲットは日本人です。日本人から吸い上げたお金を海外企業に提供する、これがこの法案の本質です。
カジノ面積の上限規制も、米国のカジノ企業の要求により緩和されました。法案の詳細を331もの政省令に委ねているのは、あとでカジノ企業がやりやすいような規則をつくるためです。海外カジノ企業にこれほど配慮した露骨な「売国」法案は今までみたことがありません。
第二の理由は、本法案が歴史上初めて民営賭博を解禁しようとするものであり、極めて違法性が高いからです。
本法案は、内閣府に設置された「IR推進会議」のとりまとめに基づいて作成されました。「会議」のメンバーには、刑法の専門家が一人もおらず、カジノ業界から報酬を受けている人物までいました。
違法性の阻却について議論したのは一回だけで、「民営賭博も合法」という結論を出しました。「会議」が出した結論も的外れで、民営賭博の違法性は全く阻却されていません。
法務省は従来、賭博が違法性を阻却するための第一の要件として、「目的の公益性」を挙げていました。これは賭博による収益の使い道を公益性のあるものに限るということです。
この要件に照らして、競馬などの公営ギャンブルは、賭博という違法行為を行うが、その収益を住民サービスなど公益性のあるものに限定して使うから、違法性が減じられ合法であると認めてきたのです。賭博のもうけの大半を自分の懐に入れる民営賭博が、違法性を阻却できる余地など全くありません。
民営賭博の際限のない拡大に道をひらき、日本社会に深刻な弊害をもたらすことは間違いありません。