2018年7月17日(火)
主張
沖縄と核兵器
核再配備許さず平和な島こそ
米軍による沖縄への核兵器持ち込み問題をめぐり、県民の不安が新たに広がっています。外務省高官が沖縄への核貯蔵庫建設を肯定する発言をしていたことが本紙入手の内部文書で判明したり、米国で沖縄返還(1972年)後の核再配備の密約に関わる機密文書が公開されたりしたためです。沖縄への核持ち込みは、劇的に展開し始めている朝鮮半島の非核化、北東アジアの平和体制構築への動きに真っ向から反します。沖縄県議会の意見書(6日)が強く求めているように、沖縄への核再配備密約を正式に無効にすることなどが必要です。
密約の正式な無効化を
昨年9月、NHKの特集番組(「沖縄と核」)は、米軍占領下の沖縄に1300発もの核兵器が持ち込まれ、核戦争遂行の一大拠点にされていたという次のような戦慄(せんりつ)的な実態を放映し、大きな衝撃を与えました。
▽53年、アイゼンハワー大統領が「緊急時の使用に備えて核兵器を沖縄に配備する」ことを決定。伊江島では強制的な土地接収で爆撃場を造り、核爆弾投下訓練を実施。核模擬爆弾が爆発して住民が死亡▽59年、米軍那覇飛行場(当時)で核弾頭を付けたミサイル(ナイキ・ハーキュリーズ)が誤って発射され、海に落下。核爆発が起これば那覇市が消滅する事態にもなっていた▽沖縄に四つの核ミサイル(メースB)基地が建設され、62年のキューバ危機ではいつでも発射できる態勢を取り、核戦争になれば沖縄も核攻撃の対象となり消滅の危険にさらされていた。
沖縄への核配備は、決して過去の問題ではありません。日本への沖縄返還に際し、米軍は核兵器を撤去したとされています。しかし、69年の返還合意時に、佐藤栄作首相とニクソン米大統領が、「緊急事態」になれば沖縄に核兵器を再配備する権利を米政府は持ち、嘉手納弾薬庫や辺野古弾薬庫などを「いつでも使用できる状態に維持」するという密約を交わしていたことが分かっています。
今年6月には、米国務省が沖縄返還交渉に関する機密文書を公開し、米4軍を統括する統合参謀本部議長が沖縄返還後も核貯蔵の継続を強く望み、佐藤・ニクソン会談後、核兵器の再持ち込みと通過の権利が得られたことを歓迎していたことなども判明しています。米側が密約を現在も有効と考えているのは明白です。
本紙は3月、米議会の諮問機関が2009年に米国の核戦略態勢について在米日本大使館関係者に行った意見聴取の内容を記した文書を入手しました。それによると、沖縄への核貯蔵庫建設について秋葉剛男公使(現外務事務次官)は「そうした提案は説得力がある」と述べ、沖縄への核再配備の可能性を肯定しています。
沖縄県が6月、外務省を通じ、核兵器の持ち込みの有無などをただす照会を米軍に行い、県議会が沖縄の核密約の正式な無効化や嘉手納・辺野古両弾薬庫の実態調査などを求める意見書を全会一致で上げたのは当然です。
許されぬ辺野古新基地
日本政府が建設を強行している名護市辺野古の米軍新基地は完成すれば、辺野古弾薬庫と一体になります。沖縄への核再配備の危険をなくすためにも新基地建設は絶対に阻止しなければなりません。