2018年7月7日(土)
カジノ実施法案への辰巳議員の質問
参院本会議
日本共産党の辰巳孝太郎議員が6日の参院本会議で行ったカジノ実施法案についての質問(要旨)は次の通りです。
どの世論調査をみてもカジノ解禁に反対する声は過半数を超え、「今国会で成立させる必要はない」が7割、自民党支持者の中でも6割に達しています。反対が多いのは、いくらIR(統合型リゾート)という言葉でごまかしても、国民の中に刑法で禁じられた犯罪である賭博解禁への不安や懸念があり、人の不幸を土台に経済成長という考えには到底納得できないからです。
私は、カジノと万博を誘致するという大阪市夢洲を視察しました。カジノだけでは、経済界からの投資呼び込み、税金を使ったインフラ整備がしにくいから、万博開催とセットで行おうというものであり、まさにカジノのための万博誘致といわれても仕方のないものでした。だからこそ、大阪の知事や市長は万博開催前の2024年にカジノを開業するために、今国会でこの法案を通してもらいたいと要請してきたのではないですか。
政府はカジノをつくる目的を「外国人観光客を増やし、経済成長の目玉にする」などと言ってきました。しかし、カジノなど無くても、日本への観光客は増加しています。いま外国人観光客は、日本食やショッピング、文化遺産、自然、観光地が魅力で訪日しています。おぞましいカジノなど無くても、日本の観光も大阪の観光も充分発展している、今後も発展していけます。
大阪、北海道、長崎などカジノ誘致に手を挙げている自治体の計画は、どこも集客見込みの8割程度が日本人です。カジノのターゲットは外国人観光客ではなく日本人です。しかもカジノ事業を実際に行うのは経験とノウハウを持っている海外カジノ資本です。日本人のお金を海外資本がカジノで吸い上げ、本国の株主、投資家に還元することになります。これこそ究極の「売国」法案ではありませんか。
昨年9月1日、大阪府知事、大阪市長とアメリカのラスベガス・サンズのアデルソン会長が会談しています。会談後、アデルソン会長は「IR推進会議」のカジノ施設の面積規制案に対し、上限が設けられれば投資を50億ドル以下に抑えざるを得ないと述べたと報道されています。カジノ規制を緩和しなければ投資を減らすという脅しです。実際、当初の政府原案にあったカジノ面積1万5000平方メートルの上限は撤廃されました。今回のカジノ実施法案策定にあたり海外資本からの要望を受け入れてきたのではありませんか。
今回のカジノ実施法案は、歴史上初めて民営賭博を合法化しようというものです。従来、賭博は競馬や競輪など公営ギャンブルだけに認められてきました。それは公的な主体が行うなら、収益の使途を公的なものに限ることや、射幸性のコントロールができると考えたからです。粗利益の7割を民間業者が懐に入れる今回の民営賭博がどうして合法だといえるのですか。法案が示す入場回数の制限や入場料を取ることと、個々の賭博行為の射幸性をコントロールすることは別です。民営賭博は射幸性を高め、ギャンブル依存症を増すほど儲(もう)かります。民営賭博の射幸性をコントロールするなど不可能です。
本法案は、強い違法性があるからこそ禁じられてきた民営賭博を、違法性はそのままに解禁しようとするものです。いまでさえ深刻な実態にあるギャンブル依存症をさらに増加させる前代未聞の悪法です。断固、廃案にすべきです。