2018年7月5日(木)
辺野古新基地差し止め訴訟
「国のあり方問われる」
高裁那覇支部
知事の岩礁破砕許可を得ずに辺野古新基地建設工事を行うのは違法だと、沖縄県が国を訴えた辺野古新基地差し止め訴訟の控訴審が4日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で始まりました。
県は「新基地建設を拙速に進めるためなら法の解釈もねじ曲げてしまう国のあり方が問われている」と訴えました。
岩礁破砕は海底の状態を改変する行為。埋め立て行為も該当します。漁業法に基づく県漁業調整規則は、漁業権が設定された海域の岩礁破砕に県知事の許可を求めています。
ところが国は昨年3月、仲井真弘多前知事から受けた岩礁破砕許可期限切れが迫ると、突如「許可不要」といい、今も許可なしで工事を続けています。
国は、名護漁協が工事水域に該当する部分の漁業権の一部放棄を議決したから漁業権は消滅し、岩礁破砕許可は必要ないと主張しています。
一方、県は、従来の水産庁の法解釈に照らせば、漁協が漁業権一部放棄を宣言しても漁業権は消えず、知事の許可を必要とする漁業権変更手続きがいると主張。その手続きが取られていないため、今でも工事海域に漁業権は存在し、国は知事の岩礁破砕許可を得る必要があると訴えてきました。
しかし那覇地裁の審理で国は「訴え自体が不適法」と、国の従来の法解釈との整合性や漁業権の存在の有無といった実体審理に入る必要はないとし、裁判所も追認して県敗訴の判断を下しました。
県はこの日の控訴審で「裁判所の任務放棄は許されない」「実体判断を示す事は裁判所の使命だ」と訴えました。国は従来の主張を繰り返し、控訴棄却を求めました。次回期日は9月13日です。