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2018年7月3日(火)

主張

原発ゼロ基本法案

世論を広げ制定を実現しよう

 野党4党が衆院に共同提出した「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)に、期待と注目が集まっています。原発をゼロにする法律案が国会に出されたのは史上初めてです。政治の意思として原発ゼロを決断することを趣旨とした法案は画期的です。安倍晋三政権が原発再稼働の動きを強めるなかで、「原発廃止・エネルギー転換の実現は、未来への希望である」(前文)と宣言した法案を国会で審議させ、制定させるために世論と運動を広げる時です。

運動と提案が合流して

 原発ゼロ基本法案は3月9日、日本共産党、立憲民主党、自由党、社会民主党の4党が提出しました。稼働している原発は停止する、再稼働は一切認めないということが法案の中心点です。

 前文では、2011年の東京電力福島第1原発事故の経験によって「安全神話」は崩壊し、原発は計り知れないほど重大な危険を伴うとの認識が広がるなかで、「国の原子力政策が誤りであったことを認め」、全原発を停止・廃止し、省エネ・再生可能エネルギーによる需給構造の転換をはかる方針を明確に位置づけています。

 こうした理念が掲げられたのは、全国の運動や提案が合流し実を結んだ結果です。3・11以降続けられてきた官邸前での抗議行動や全国の金曜日行動などが継続してきたこと、1960年代から長年積み重ねてきた原発建設反対の運動や提案のたまものです。「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、会長・吉原毅城南信用金庫顧問)が1月に発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」は大きなインパクトになりました。

 6月28日に東京で開かれた「原発ゼロ基本法の制定をめざす市民のつどい」では、市民や野党の代表らが原発推進に固執する安倍政権の姿勢を批判し、原発の再稼働をストップさせ、原発ゼロに向かうことには大義があり、十分可能であることを口々に訴えました。

 基本法案が提起している方向は世界の流れにも合致しています。たとえば、ドイツでは2022年までに全原発の廃炉を決断したことで、再生可能エネルギーの拡大が飛躍的にすすんでいます。原発で働く人は約3万人といわれますが、風力や太陽光など再生可能エネルギー産業で働く人は約38万人であり10倍以上です。再エネのコストが下がり、雇用が増えています。法案の示す道こそ現実的であることを浮き彫りにしています。

 安倍政権が近く閣議決定しようとしている「エネルギー基本計画」の案は、2030年度の全電源に占める原発の比率を現在の約2%から20~22%にするために「全力を挙げる」と強調しています。これは30基以上の原発を再稼働させる方針であり、国民世論に完全に逆行するものです。

国民的な大運動を

 安倍政権を追い詰める市民と野党の共闘にとって、基本法案は大きな柱になります。来年の参院選に向け世論を広げ、共闘を発展させていくことが重要です。

 原発ゼロ基本法案は現在、衆院経済産業委員会に付託されており、与党が応じれば審議ができます。延長国会で審議入りさせ、制定をめざす国民的な大運動が求められます。


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