しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年7月1日(日)

大阪北部地震

防災対策抜本強化求める

党国会議員団の申し入れ

 日本共産党国会議員団が6月29日、小此木八郎防災担当相に手渡した「大阪北部地震による被害を踏まえた防災対策の抜本的強化を求める申し入れ」の全文は次の通りです。


 去る18日に発生した大阪北部地震により、大阪府で小学校4年生の児童をはじめ5名の方が犠牲になったほか、京都府、奈良県、兵庫県を含めた住家の被害は1万2000棟を超え、10日以上を経過してもなお多くの住民が避難生活を余儀なくされている。(6月27日現在)

 そもそもブロック塀の安全対策については、1978年の宮城県沖地震を教訓に建築基準法施行令が改正されたものである。その後も震災のたびごとに危険性が指摘されてきたにもかかわらず、いまだに基準に適合しないものがどれだけあるのかさえ把握されていないという驚くべき実態が、40年間にもわたって放置されてきたものである。

 都市機能として重要なインフラである水道管の老朽化対策・耐震化についても、総延長の1割以上が法定耐用年数を超えているにもかかわらず更新が追いついておらず、その脆弱(ぜいじゃく)性が白日のもとにさらけ出された。交通インフラの大規模地震対策や多数の人々が利用する建築物や木造老朽住宅等の耐震化を含め、防災対策に対する政治のあり方が根本から問われている。

 大阪北部地震では、住家被害の99・8%を占める「一部損壊」世帯とともに、深刻な宅地被害に対して早急な支援策を講じることが喫緊の課題となっている。

 被災者が一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、過去の事例にとらわれることなく必要な支援をおこなうことを求めるとともに、地震対策のあり方を根本から見直し、今回の地震の教訓を全国の地震防災対策に生かすことを求め、下記事項の実現を申し入れる。

 一、住家の「一部損壊」や宅地被害に対する支援をおこなうこと。

 避難所だけでなく被災者全体の生活の維持・再建状況を具体的に把握し必要な支援をおこなうことにより、被災地の復興をすすめること。

 二、ブロック塀の安全対策は、所有者まかせでなく行政による点検とその結果にもとづく撤去等を具体的・計画的にすすめること。

 学校のブロック塀の点検と危険な塀の撤去は当然であるが、それだけでなく通学路をはじめ生活道路、避難場所や避難道路などを含めたブロック塀についても、点検と撤去などの安全対策は一刻の猶予も許されない。そのためにも自治体まかせにせず所有者の財政負担の軽減策を講じること。

 また、建築物の耐震化や天井の落下対策など、建築基準法や建築物の耐震改修促進法等で規定する建築物等の耐震対策についても、ブロック塀の轍(てつ)を踏むこととならないよう、現状の進捗(しんちょく)状況の把握をすすめ、必要な対策を講じること。

 三、国の責任を明確にし、水道の地震対策を集中的にすすめること。

 大阪府の水道管路の老朽化率は、全国最悪の28・3%、その更新は0・98%にすぎない(2015年度)。また、基幹管路の耐震化は34・5%(16年度)という状況である。こうした水道施設の整備が遅れているもとで今回の地震により約9・4万戸の世帯で断水等の影響を被ることになった。同様の事態は阪神・淡路大震災以降だけでも震度6弱、6強の地震のたびに繰り返されてきた。

 コンセッション方式導入など公的責任の放棄につながりかねない水道法の改正はやめ、現行水道法で規定されている「水道の整備に関する」国の責務(第2条の2第2項)にもとづき、地方自治体等に対する「財政的援助」を強め、計画的な整備をすすめること。

 同時に、病院を含めた災害時の応急活動の拠点となる施設について、応急活動に必要な電源や水道等の耐震性が確保されているかの点検を緊急におこなうとともに、耐震性貯水槽を含めた整備をすすめること。

 四、被災者生活再建支援法の適用基準を見直すとともに、「一部損壊」世帯に支援対象を拡大すること、また支給限度額を少なくとも500万円に引き上げること。

 被災者生活再建支援制度は創設から20年を経て、被災者の生活再建にはなくてはならない支援制度となっている。しかし、過去10年間の被災者生活再建支援法の支援対象とされた被災世帯の割合は、住家被害のあった世帯の1割程度にとどまっており、その拡充が切実に求められている。

 今回の地震だけでなく2年前の熊本地震でも78・9%が「一部損壊」とされており、大多数の被災世帯は支援の対象から除外されている。「一部損壊」と判定されても再建に要する負担は千差万別であり、放置することで被災者の生活再建を遅らせ、あるいは断念に追い込み、被災地域の復興の足かせとなることなど本末転倒といわなければならない。

 また、全壊戸数による適用基準を満たさないとして今回の地震災害を適用対象としないことは、被災地が必要とする支援のあり方と大きく乖離(かいり)したものであり、すみやかに適用基準を見直すことが求められる。


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