2018年6月29日(金)
「働き方」法案 19世紀の働かせ方容認
倉林氏 「残業基準低すぎる」
参院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林明子議員は28日、国際水準に照らしてあまりにも長い日本の労働時間を是正することこそ必要であり、「働き方改革」一括法案は廃案にすべきだと迫りました。
国際労働機関(ILO)第107回総会(5月28日~6月8日)で労働時間法制の調査報告が行われ、「長時間労働」は週48時間以上、「非常に長時間」は週60時間以上と定義しています。EU(欧州連合)労働時間指令では、残業が週8時間、月32時間で長時間になります。勤務間インターバル実施は11時間の国が25カ国、12時間が21カ国です。
倉林氏は「国際水準は、日本の大臣告示の残業週15時間、月45時間よりも厳しい。法案の上限規制は月100時間を容認しており、国際的な水準に照らしてあまりにも低い」と強調しました。
加藤勝信厚労相は、「日本の現状は、他国に比べて長時間労働だ」と認めながら、「過労死ライン」を容認した法案の残業上限を「ギリギリ実現可能だと労使で合意した」などと主張。倉林氏は「労使合意を口実にした労働行政の責任放棄だ」と批判しました。ILOが最初に採択したのは1日8時間労働を定めた条約(1919年)でした。倉林氏は、「日本政府は『日本の事情は特殊だ』と主張し猶予を求め、以来100年、労働時間規制の条約を1本も批准していない」と問題視しました。
加藤厚労相は、8時間労働条約の批准について、「変形労働時間制など整合性に慎重な検討が必要だ」と述べ、例外的労働時間制度があるためできないと説明しました。
倉林氏は、「100年前の国際基準さえ批准するつもりがない。法案は19世紀の働かせ方を容認する逆行だ。廃案にして出直すべきだ」と強調しました。