2018年6月16日(土)
主張
「骨太」閣議決定
負担増持ち出す資格あるのか
安倍晋三内閣が来年度予算編成に向けて「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定しました。来年10月からの消費税率の10%への引き上げを明記するとともに、「財政健全化」を口実に社会保障費の大幅カット方針の続行・強化を盛り込むなど、暮らし直撃の重大な内容です。「森友・加計」問題などで国民から厳しい批判を浴びている疑惑まみれの政権が、国民に一層の負担と犠牲を押し付ける資格があるのか―。安倍政権による生活破壊ノーの声を広げることが重要です。
「削減加速」の危険隠せぬ
政権復帰後6度目の「骨太の方針」は2019年10月から消費税率アップを実行する姿勢を鮮明にしました。14年4月の消費税率8%への引き上げで国民に負担を強い、消費を冷え込ませ、経済を深刻に落ち込ませていることに対する反省が全くありません。
さらに、「財政健全化」には社会保障費の増加が「足かせ」になると決めつけ、大幅に削り込む方針を改めて打ち出しました。とくに「団塊の世代」が75歳になり始める22年までに社会保障費増を抑える仕組みをつくるため19~21年度を「基盤強化期間」と位置付けたことは重大です。同期間に社会保障費の伸びを「高齢化」分しか認めないとタガをはめました。これは医療技術の高度化などによる増加分をカットすることを意味します。削減する金額を数値で記すことは世論の反発を恐れ見送りましたが、安倍政権がこの間強行してきた「社会保障費の自然増分」を一律削減する路線の堅持・強化を表明したことに他なりません。
安倍政権はこの6年間、「自然増」削減により社会保障費を1兆6千億円も削り込み、医療や介護、年金、生活保護など各分野で国民の負担増・給付減という深刻な被害をもたらしました。暮らし破壊の加速を狙う「骨太の方針」の危険性は隠しようがありません。
実際、「骨太の方針」には、安心の社会保障を掘り崩す制度改悪の方向性が列挙されています。75歳以上の医療費窓口の本人負担の引き上げ、介護のケアプラン作成の有料化、介護の軽度者への生活支援サービスの切り捨てなどを容赦なく実行する構えです。
公的な医療費の増加が患者の負担増に連動する「自動調整」の仕組み導入を検討することも初めて明記しました。この仕組みは「患者負担が天井知らずになる」と医療団体が反対しているものです。
社会保障の安心を揺るがす制度改悪の具体化は、「消費税増税は社会保障充実のため」という口実がいよいよ成り立たないことを浮き彫りにしています。消費税増税分の一部をあてるとしている「教育・保育の無償化」も、その規模や内容は問題だらけで、国民の願いとかみ合っていません。
税の集め方・使い方を変え
「骨太の方針」の「防衛力を大幅に強化」との記述は、社会保障への冷たさと比べ、あまりに対照的です。「骨太」と同時決定された「未来投資戦略」は大企業優遇策が山盛りになっています。政治の姿勢が根本的に間違っています。
消費税に頼らず、大企業・大金持ちに応分の負担を求めて財源を確保し、社会保障を充実させる政治への転換が必要です。国民の暮らしを支え豊かにすることが、日本経済の再生と成長への道です。