2018年6月14日(木)
追及 アパート商法の闇
レオパレス21 防火の仕切りなし
所有者告発 屋根裏を調査
大手サブリースの「レオパレス21」(東京都)が開発・販売したアパートで、延焼や音もれを防ぐ壁(界壁)が屋根裏に設置されていないなど建築基準法違反の疑いが多数発覚し、大きな問題になっています。その実態とは…(原千拓)
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建築基準法違反の疑い
同社が三重県桑名市で建築したアパートの屋根裏を所有者(50代)の案内で、のぞきました。
このアパートは1996年に建築。2階建てで全8室の構造です。真っ暗な屋根裏を懐中電灯で照らすと、界壁は合板のみが貼られているだけでした。本来は両面に防火材を貼られていなければならないといいます。界壁の両端は合板さえ貼られておらず隙間が空いています。
図面と違う施工
この所有者が問題を知ったのは、同社が開発したアパートの所有者らで作る「LPオーナー会」(前田和彦代表)からの情報提供。連絡を受け今年2月28日に建築士に点検してもらったところ、防火構造になっていないことが発覚しました。
所有者夫妻は「何かあったときに今住んでいる人が一番被害を被ることになる」と憤ります。
同氏は前田代表、1級建築士の纐纈誠さんとともに5月18日に同本社を訪問。その際に市に提出した設計図面(建築確認申請)を渡されました。
渡された設計図面と実際の施工内容が異なっていることを指摘すると、同社側は「施工現場との意思の疎通がなかったことにより起こったと思われる」と界壁が防火構造になっていないことは認めました。このとき前田氏から、おわびはしないのかと指摘されるまで同社から謝罪はなかったといいます。
約3.8万棟調査へ
面談で同氏は、市に提出した設計図面とは別の設計図面があるのではないか、と疑問を持ちました。
同社はオーナー会の指摘を受け、違法建築問題について4月27日に公表し、調査を開始。5月29日には94年から2009年に建てられた物件で、調査済み500棟のうち約200棟に建設基準法違反の疑いがあることを明らかにしました。同社が施工した約3万8千棟を調査するとしています。
この所有者は、怒ります。「公表前に私たちには何の連絡もありませんでした。一番大切にすべきは入居者の命です。レオパレスの経営陣たちは何を一番に大事にすべきか分かっていません」