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2018年6月8日(金)

主張

「骨太の方針」原案

消費税増税は中止すべきだ

 安倍晋三政権が来週決定する経済財政運営の基本方針(「骨太の方針」)の原案がまとまり、社会保障の大幅削減などの方向が浮き彫りになりました。見過ごせないのは、来年10月から消費税の税率を8%から10%へ引き上げることを明記し、増税に伴う物価の上昇や消費の抑制に備え、財政支出の拡大や住宅、自動車購入促進などの対策を取ろうとしていることです。消費税の価格への転嫁をやりやすくすることも検討されています。消費税増税の影響を考えるなら中止が一番です。大企業を潤すような対策は本末転倒です。

増税前提が矛盾広げる

 毎年6月ごろ決定される「骨太の方針」は、大企業を「成長」させる「未来投資戦略」や「規制改革」とともに、政権の経済政策の基本になるものです。とりわけ「骨太の方針」は、来年度以降の予算編成の基本となります。「アベノミクス」によっても思惑通り進まない「経済再生」策や、破綻が深刻な「財政再建」策の見直し、とりわけあと1年余に迫った消費税増税などが焦点です。

 安倍首相は政権に復帰した後の2014年4月に消費税の税率をそれまでの5%から8%に引き上げ、国民の負担を増やし、消費を冷え込ませました。政権復帰当時は「経済再生」が最優先だといったのに、増税後の14年度は国内総生産(GDP)が前年度に比べマイナスに落ち込み、家計の消費支出はいまだに低迷を続けています。総務省の家計調査報告によると、消費支出は増税後ほとんどの月で落ち込みが続き、直近の4月も3カ月連続の実質マイナスです。

 安倍政権はそのため、当初は15年10月に予定していた10%への引き上げを2回にわたって延期に追い込まれました。現在は一部の食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」や、増税の一部を「子育て」などに回すことと引き換えに、増税を狙っています。それでも暮らしと経済への影響はぬぐい切れないため、「骨太の方針」に増税の19年10月実施は明記する一方、「臨時・特別」の対策を盛り込むことにしました。

 消費税を導入し、増税を繰り返してきたのは「財源確保」が名目で、財政支出を拡大するのは矛盾します。しかも増税による負担が大きい住宅や自動車の購入に対策をとることは、住宅などに手が届かない低所得者層には無関係で、一部の大企業を潤すことにもなります。もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進的な税金で、軍事費なども賄うものですが、そのゆがみは激しくなります。

 増税分を価格に転嫁しやすくするために値上げの時期や幅を自由にするなどというのは、値引き競争や便乗値上げなどを招き、消費者や零細業者を苦しめます。

歳出・歳入の改革こそ

 安倍政権が増税に固執し、新たな対策をとるのは、経済財政諮問会議などで財界が要求したものです。増税への反発を抑え、今秋の首相の自民党総裁3選など、政局をにらんだものともいわれます。

 「森友・加計」問題などで国民の信頼を失った安倍政権に、増税を強行する資格はありません。来年10月からの消費税増税は中止し、消費税に頼らなくてもいいように、歳出と歳入の抜本改革を行うべきです。「骨太の方針」原案は撤回するしかありません。


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