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2018年5月27日(日)

米朝会談復活へ模索

米側、前向き発言

 【ワシントン=池田晋】トランプ米大統領による米朝首脳会談の中止発表から一夜明けた25日、態度を大幅に軟化させた北朝鮮の新たな談話(25日付)を受け、トランプ大統領本人を含む側近からは、6月12日にシンガポールで予定されていた会談の復活を模索する発言が相次ぎました。歴史的会談の実現をめぐる双方の駆け引きはなお続いています。


国防長官「再設定できるかも」

 トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、北朝鮮との対話は現在も進行中で、「北朝鮮は会談をとてもやりたがっている。私たちもそれを望んでいる」と説明。双方には依然として、会談開催の意思があるとの認識を示しました。

 マティス国防長官は同日、国防総省で記者団に「北朝鮮との首脳会談関係でもしかしたらよい知らせだ。外交官らがうまくやれれば、再設定できるかもしれない」と楽観的な見方を表明。最近のトランプ氏と北朝鮮の応酬については、重要な首脳会談を設定する際の「ありふれた駆け引き」の一環だとまで言ってのけました。

 サンダース大統領報道官も同日、6月12日に会談が開かれる可能性が依然としてあり、「もし6月12日に開かれるなら、われわれは準備できる。準備のために必要なことは何でもする」と述べました。

 前日の会談中止発表から一転した会談再設定に向けた動きには、中止発表そのものに多くの伏線が敷かれていました。

 中止を通告したトランプ氏の24日の書簡は、北朝鮮の最近の態度を問題視する一方、「結局はそうした(首脳間)対話が重要」と会談の必要性も強調。記者団には、会談中止を決定したとする一方、「予定通り、もしくは日を幾分遅らせて開催される可能性がある」とも述べていました。

 また、ホワイトハウス高官は中止の背景について▽シンガポールで予定されていた首脳会談打ち合わせで待ちぼうけをくらった▽専門家などの招待を約束していたはずの核実験場爆破にメディアしか立ち会わせなかった▽1週間にわたり米側の呼びかけに応じない―など多くの「約束違反」で会談準備が停滞していることを列挙。交渉決裂というより、「誠意の著しい欠如」を問題視して、「ボールは北朝鮮側にある」と述べていました。

 水面下の交渉では、米側は完全な非核化を、北朝鮮側は体制保証を譲れない要求に掲げているとみられるものの、米側の望む「一括式」核放棄と北朝鮮の求める段階的措置の間には依然、埋めがたい溝があるとの見方が米メディアでは大勢を占めています。

 トランプ氏は25日、北朝鮮に手玉にとられているのか問われ、こうかわしました。「誰もが駆け引きしている。わかるだろう」


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