2018年5月27日(日)
なんだっけ
原発事故賠償のADRって?
Q 東京電力福島第1原発事故の賠償問題でADRという言葉を時々聞くけど何のこと?
A alternative(代償的)、dispute(紛争)、resolution(解決)の略で、「裁判外紛争解決手続き」と訳されます。裁判でなく専門知識を持つ第三者による仲介で問題を解決する方法のことです。福島第1原発事故については、2011年8月に公的機関として「原子力損害賠償紛争解決センター」が設置され、同年9月から和解仲介を受け付けてきました。
Q 同センターの活動と特徴は?
A 仲介申し立てがあると、弁護士資格を持つ仲介委員が和解案をつくり解決をめざします。17年末までに2万3215件の申し立てを受けてきました。和解成立が約8割の水準を保っていましたが、17年は74%と低下しています。18年4月には福島県浪江町の住民約1万5000人が町を代理人にして行ってきた仲介が打ち切りになりました。東電が集団的仲介申し立てや、提訴中の人の仲介申し立てを拒む事例が増えています。
Q 今後の課題は?
A ADRは裁判と比べて、手続きが簡易で解決時間が短く、費用もかからないという特徴がありますが、あくまで仲介で強制力がないため、東電の和解案たなざらしや拒否にあうと、機能不全に陥ります。日本弁護士連合会は紛争解決センターの和解仲介案に対して、東電が一定期間内に裁判を起こして支払いを拒まない限り、和解が成立したとみなす立法措置を提言しています。
(2018・5・27)
東京電力への賠償請求方法
(1)東電への直接請求
(2)原子力損害賠償紛争解決センターへのADR申し立て
(3)民事訴訟