2018年5月27日(日)
主張
「カジノ」審議入り
違法賭博を合法にはできない
刑法が禁じる賭博場・カジノを合法化するカジノ実施法案が、衆院で実質審議入りしました。安倍晋三首相は、なんとしても今国会中に同法の成立を図ろうと、執念をみせています。
国民の「カジノ反対」の世論は明瞭です。安倍内閣の民意無視の暴走は許されません。
初の民営賭博の解禁か
安倍首相は衆院本会議の答弁で、「(カジノは)刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却(なくする)するものではなく整合性は図られている」とのべました。暴論というほかありません。
刑法の賭博禁止の下でも特別法で実施されているいくつかの賭博があります。競馬、競輪などの公営賭博です。しかしこれは、公設、公営で、公益を目的とするという極めて限定的な条件で特例として認めているものです。
カジノは、民間事業者が私的な利潤追求のために賭博場を開設するものです。公営賭博を特例として認める趣旨からさえ大きく逸脱し、刑法の体系と整合性をとることなどできない話です。
政府は「カジノ単体の解禁」は違法だが、「国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と収益源としてのカジノを併設する」(石井啓一国交相)なら合法だともいいます。
「カジノではなく統合型リゾート(IR)」という言いかえを繰り返しているのは、「違法の民営賭博の合法化」というこの法案の本質を覆い隠すためのごまかしにすぎません。
内閣委員会の質疑で自民党議員は「IRは民間の資金でつくり、ランニングコスト(稼働資金)にカジノ収益を充てる」とのべました。推進派は「税金を一円も使わずにできる観光振興策。すべて民間の資金でまかなえる」という絵空事を繰り返しています。
日本進出をめざす米国のラスベガス・サンズやMGMなど海外のカジノ資本は、日本のカジノに1兆円程度の投資をいとわないと再三にわたり言明しています。カジノ誘致に熱心な大阪府の松井一郎知事は「いまどき1兆円も投資してくれる企業などほかにない」ととびつく発言をしています。
海外のカジノ資本は日本で慈善事業をやるために投資するわけではありません。
日本国内にこれまでなかったカジノをつくり、「富裕」な日本人客から金を巻き上げることができれば、初期の投資など数年でとりかえしたうえ大もうけができると踏んでいるから、巨額の投資話をちらつかせているのです。
トランプ米大統領の最大の支援者といわれるサンズのシェルドン・アデルソン会長は、アジア地域のカジノから吸い上げた利益で今年の世界長者番付20位に入っています。彼らがいま「最後のビッグビジネス」とねらうのが日本進出です。安倍首相やカジノ推進派の反国民的姿勢は重大です。
世論と運動広げ廃案へ
日本共産党の宮本岳志議員は衆院本会議で「違法性が高く経済効果もないうえ、カジノ資本が国民を搾取し深刻なギャンブル依存症を増加させる希代の悪法は廃案しかない」と強く求めました。
「働き方」法案などと合わせ、国会最終盤へ安倍内閣が駆け込みで成立を企てる悪法をストップさせる世論と運動を広げる時です。