しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月13日(日)

主張

労基法等改正大綱

まともな働き方改革の実現を

 安倍晋三政権が、今国会の最重要法案と位置付ける「働き方改革」一括法案の審議入りを強行し、法案成立へ向けた動きを急速に強める中、日本共産党は「『働かせ方』大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために」と題した労働基準法等改正大綱を発表しました。労働時間規制を完全になくす「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)導入や過労死水準の残業を合法化する政府の大改悪案への対案であるとともに、働く人を守る立場から本物の働き方改革の実現へ向けた具体的で積極的な提案です。

「高プロ」制度は削除

 改正大綱は、「高度プロフェッショナル制度」を一括法案から削除することを提起しました。同制度は、週休2日にあたる年間104日の休みさえあれば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、文字通り過労死を促進・合法化するものです。8時間労働制を根底から覆すとんでもない仕組みの導入など絶対に許されません。

 裁量労働制の抜本的な見直しは焦眉の課題です。裁量労働制は、実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間を働いたとみなす「みなし労働時間制」を採用しています。そのため、実際の労働時間の把握が事実上不可能で、長時間労働の温床となっています。

 なかでも企画業務型裁量労働制は、不動産業、保険業などを中心に、営業職や一般職に違法に適用する動きが広がり、大問題になっています。「企画型」裁量制はきっぱり廃止し、「専門業務型」は業務を限定するなど要件と運用を厳格化することが急務です

 政府案が「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」という過労死水準の残業時間を法的に容認していることに、全国過労死を考える家族の会などから厳しい批判が上がっています。いま必要なのは、残業時間の上限基準として、週15時間、月45時間、年360時間と定めている「労働省告示154号」に法的拘束力をもたせることです。この上限時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用することは、国民の願いに沿ったものです。

 一日の労働が終わり、次の労働の開始まで連続11時間の休息時間(勤務間インターバル)を確保することを欧州連合(EU)は法制化しています。これを労基法に書き込む改正は欠かせません。使用者に実労働時間の正確な把握・記録を義務付けます。「サービス残業」の残業代を2倍にすることは長時間労働を抑止する力です。

 正規と非正規の格差是正について、政府案が「人材活用の仕組み」などによる賃金格差を容認しているのに対し、改正大綱は同一労働同一賃金と均等待遇の原則を労基法などに明記し、正規と非正規、男女の格差をなくすことを打ち出しています。

 パワハラ行為とセクハラ行為の防止と厳格な規制のために労働衛生法や男女雇用機会均等法を改正することが急がれます。

一括法案廃案へ力合わせ

 8時間働けばふつうに暮らせる社会をつくるため、まともな働き方改革こそ必要です。安倍政権の法案は、これに真っ向から逆らう「働かせ方大改悪」にほかなりません。野党、労働組合など諸団体、市民が力を合わせ、一括法案を廃案に追い込むときです。


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