2018年5月10日(木)
論戦ハイライト
残業代ゼロ 高プロ 生産性向上にも逆行
労働者にとっては残業代が出ないだけ
衆院厚労委 高橋氏が追及
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9日の衆院厚生労働委員会で、高度プロフェッショナル制度(「残業代ゼロ制度」)についてただした日本共産党の高橋千鶴子議員。同制度では、政府が導入の口実にする労働時間短縮にも、労働生産性向上にも結び付かないことがあらためて浮き彫りになりました。
パートを除く一般労働者の2017年の総実労働時間は2026時間で、横ばいが続いています。高橋氏は、政府の白書でも「労働時間が短いほど、労働生産性が高い」と認めており、全体の労働時間の短縮を目指していることを確認。ところが、「専門職」を労働時間規制から外す高プロでは、働きすぎ防止のためといいながら年間104日の休日と、わずか5日の年休を義務付ける措置しかとっていないとして、政府が目指す方向と逆行していると指摘しました。
監督指導できる 制度的根拠なし
高橋 そもそも年104日程度も休めない労働者が多いという認識か。
山越敬一労働基準局長 年104日の義務付けは最低限のルールとして定めるものだ。
高橋氏は、労働時間規制が外れる一方で、休日が増える制度的な保障は何もないことを重ねて指摘し、「これで健康確保措置とはいえない」と指摘しました。
さらに、高橋氏は、高プロでは、導入を決める労使委員会での決議から6カ月以内に1度、労働基準監督署に定期報告をすれば済むことになっているとして、「(ルールが守られているか)どのようにチェックするのか」とただしました。
高橋 たとえば104日の休日をとったかは、1年たたないとわからないが、どうやってチェックするのか。
山越局長 監督指導のやり方は法施行後に改めて検討する。
高橋氏の追及に、山越局長は「検討」を繰り返すばかり。労基署が監督指導できる制度的な根拠が何一つないことが明らかになりました。高橋氏は、そもそも「時間規制を外すのだから長く働いても違反といえない」と強調しました。
導入の理由崩壊 法案から削除を
また、高橋氏は、政府が高プロを導入することで「自律的に創造的な仕事ができる」と説明している点も、時間規制が除外され、残業という概念がなくなるのに、生産性があがるというのはなぜかと追及しました。
高橋 労働者にとっては、高プロになったら残業代がでないだけだ。どうして自律的で創造的な働き方ができるのか。
加藤勝信厚労相 夜間の賃金が(割増で)高くなれば、その時間は(働くのを)やめてくれとなるが、夜間、働いた方が、効率が良い方は、自分に合った時間帯で働けるようになる。
高橋 深夜手当を払いたくないのは使用者の側であって、労働者の側ではない。
高橋氏は、働き方の選択肢を増やすというなら、現行制度でも十分対応可能で、新たに高プロを導入する根拠にはならないと指摘。導入の根拠が完全に崩れた高プロは法案から削除するよう強く求めました。