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日本共産党

2018年4月18日(水)

シリーズ憲法の基礎

9条2項の力 「海外出動せず」と自衛隊創設

 「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈(しれつ)なる平和愛好精神に照らし、海外出動はこれを行わないことを、茲(ここ)に更(あらた)めて確認する」

 1954年6月2日、防衛庁設置法と自衛隊法(防衛2法)が成立しました。そのとき、参院本会議で「自衛隊の海外出動をなさざることに関する決議」が採択されました。自衛隊は、「海外派兵はしません」と約束して誕生したのです。

 自衛隊法案を審議していた同年4月12日の衆院内閣委員会で木村篤太郎国務相(保安庁長官・当時)は、「(自衛隊を)海外派兵はしない法律的根拠は一体何か」と問われ、次のように答弁しています。

 「いわゆる日本の自衛権の範囲内、その範囲内において自衛隊というものは設立されておるのであります。自衛隊というのは、わが国の独立を守り、安全を期するためでありまして、海外派兵なんということは考えておりません」。木村氏はその後、初代防衛庁長官となりました。

 自衛隊創設は憲法9条2項の「戦力不保持」に反するのではないかと批判を受け、国会でも繰り返し論議されました。吉田茂首相は53年11月3日の衆院予算委員会で「戦力は持たしめないつもりでありますが、これを軍隊と言い、軍艦と言うことは、言うても差し支えない」と述べ、“戦力なき軍隊”という矛盾した答弁に追い込まれていました。

 9条を公然と変える「再軍備」はもちろん、9条のもとでの自衛隊創設という「なし崩し再軍備」路線の前に立ちはだかったのは、国民の侵略的軍隊復活への警戒感=「熾烈なる平和愛好精神」(決議)と9条2項の存在でした。51年の日米安保条約締結以来、国民の反対も強まっていました。その下で「海外派兵はしません」と約束せざるを得なかったのです。

 自衛隊法は自衛隊の任務を「直接侵略と間接侵略(内乱)に対しわが国を防衛する」こと(3条)と規定。「直接侵略」とは、日本の国土への武力攻撃への反撃に任務が限定される趣旨です。

 この規定が2015年に改定されました。集団的自衛権の行使を容認した安保法制=戦争法が「他国への攻撃」に対する反撃を認めたからです。(随時掲載)


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