しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月10日(火)

主張

選択的夫婦別姓

国連勧告無視する政府の異常

 国連女性差別撤廃委員会から、選択的夫婦別姓制度導入を勧告され、その実施状況報告を出すよう求められていた日本政府が報告を提出しました。その内容は勧告を無視したものであり、批判と怒りが広がっています。

いつまで検討続けるのか

 政府が3月末に提出した報告は、国連から選択的夫婦別姓導入など民法改正を求められたことに対し、「我が国の家族の在り方に関わるもので、国民の間に様々な意見があることから」「国民的議論を踏まえて慎重に検討する必要がある」としています。

 これは、国連女性差別撤廃委員会から一刻も早い導入を求められるたびに繰り返し述べてきたことであり、同委員会からは、締約国は世論調査を理由にするのではなく、条約に沿って法整備すべきと厳しい指摘がされてきたものです。内閣府の世論調査(2月発表)でも、夫婦が別姓を選べるよう法改正をしてもよいと考える人は過去最高の42・5%、必要ないは過去最低の29・3%で、政府の言い分は完全に破たんしています。

 報告の中で、政府が強調しているのが、旧姓を通称として使う事例の拡大です。最高裁判所が判決文や令状に通称使用を新たに認め、政府も国家公務員の対外的な行為を含め全省庁で旧姓使用を認めるなどの例をあげ、これで事足りるといわんばかりです。

 いくら通称使用を拡大しても、「夫と妻の姓を選択する同一の権利」(国連女性差別撤廃条約16条)、「自己の姓を選択する権利」(同条約の一般勧告)を保障することはできません。

 政府が、選択的夫婦別姓制度の導入を拒むのは、安倍晋三政権の中枢に、戦前の日本社会を理想とし、別姓は「家族の呼称廃止」であり、「家族の一体感を損なう」と特定の家族観に固執し、憲法24条(両性の平等)の改悪を狙う勢力の存在があります。しかし、この主張は、先の内閣府世論調査で、姓が違っても家族の一体感に「影響がない」という回答が、64・3%と過去最高となっているなど、国民の間では否定されています。

 選択的夫婦別姓制度の実現は、日本国憲法の13条(個人の尊厳)と24条が問われる問題です。

 世界で夫婦同姓を強制している国は日本だけです。「世界で唯一例外的な“野蛮な国”」(3月8日、民法改正情報ネットワーク主催の集会での日本共産党の志位和夫委員長あいさつ)からの脱却へ、日本政府が行うべきは、国連女性差別撤廃条約と憲法の立場に立って、制度の導入へ向けて、今すぐ踏み出すことです。

個人の尊厳守るために

 個人の尊厳を守る世論と運動は新たな広がりをみせています。

 通称使用の男性による裁判提訴や、4組の事実婚カップルによる家庭裁判所への申し立てなど、同姓強制の違憲性を問う動きが相次いでいます。民法改正情報ネットワーク主催の集会には、共同で議員立法法案を提出し続けてきた野党の代表とともに、与党議員も参加しています。

 野党共闘を力に与党議員を含めた超党派の大きな運動で、民法に残る差別規定を一掃してこそ、憲法が掲げる本当の民主主義の社会へと踏み出せます。圧倒的な世論を広げ、一日も早い実現のために日本共産党は全力をつくします。


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