しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月30日(金)

PKО 「先制的殺傷」容認

陸自文書に明記

戦争法施行2年 自衛隊 武器使用基準拡大の危険

 国連平和維持活動(PKO)の一環として、陸上自衛隊が昨年5月まで参加していた国連南スーダン派遣団(UNMISS)が、任務を妨害する相手の「先制的殺傷」を含む武器の使用を容認していることが、本紙が情報公開請求で入手した陸自第10次派遣隊の成果報告書(2016年12月11日付)に明記されていました。

 29日で施行から2年を迎えた安保法制=戦争法では、PKOでの任務を大幅に拡大。政府が今後も新たな「派兵先」を模索するなら、国連PKOの基準にあわせて、国民が知らない間に自衛隊も武器使用基準を変え、先制的な武器使用に足を踏み入れる危険があります。

 第10次隊が活動していた首都ジュバでは、16年7月に政府軍・反政府軍の大規模な戦闘が発生。陸自など複数の部隊が共同使用していた宿営地の周囲で、戦車まで用いた戦闘が展開されました。報告書によれば、UNMISSから、反政府軍の一部が宿営地内にまぎれこんで避難し、政府軍が「狩り出しのために(宿営地に)攻撃を仕掛けてくる公算」もあるとの情報提供がありました。

 安保法制では、PKOの新任務として「宿営地共同防護」が盛り込まれています。実際に政府軍の攻撃があったら、自衛隊も「共同防護」参加の可否を迫られていました。

 報告書は、「UNMISSの交戦規定(RОE)は、状況によっては、先制的自衛行動のための殺傷的な武器の使用を容認している」と明記。UNMISSは国連安保理決議で、「住民保護」のために「必要なあらゆる手段」を取る権限が与えられています。

 一方、報告書は「陸上自衛隊の武器使用規範(RUW)とは性質が異なり、相互運用性は制約される」とし「部隊行動基準に基づく法的制約」があることを認めています。

 「共同防護」に参加した場合、「先制的殺傷」を辞さない部隊との共同行動となります。他方、宿営地共同防護における自衛隊の「危害射撃」(相手の殺傷)要件は従来通りの「正当防衛・緊急避難」を当てはめており、深刻な矛盾に直面することになります。


pageup