しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月27日(火)

主張

「水陸機動団」発足

海外“殴り込み”に道開く危険

 陸上自衛隊の部隊を一元的に運用する「陸上総隊」と、海外への上陸作戦を主任務にする米海兵隊をモデルにした陸自の「水陸機動団」がきょう27日に発足します。南西諸島の防衛強化のため、「陸上総隊」の指揮下で「水陸機動団」をはじめ全国の陸自部隊を迅速に前線へ投入できるようにする体制づくりが目的といいます。集団的自衛権の行使を可能にした安保法制=戦争法に基づき、米軍と共同した海外侵攻作戦も可能にする重大な動きです。

米海兵隊をモデルにして

 陸自はこれまで、全国を五つに分けた地域をそれぞれの方面隊が管轄し、所属部隊の運用を担ってきました。新設される陸上総隊の司令部(朝霞駐屯地=東京都、埼玉県)は、方面隊の管轄地域を超えて全国規模で部隊の運用が必要になった際に指揮を執ります。陸自が発足してから最大の組織改編です。

 海上自衛隊の「自衛艦隊」、航空自衛隊の「航空総隊」に並ぶ組織で、3自衛隊の一体的な統合運用や米軍との共同作戦体制も新たな段階に入ることになります。

 水陸機動団は、海外への“殴り込み”部隊である米海兵隊のように、海上から敵地への上陸作戦能力(水陸両用作戦能力)を持ちます。西部方面隊普通科連隊(相浦駐屯地=長崎県)を母体にした水陸機動連隊や、水陸両用車(AAV7)を運用する戦闘上陸中隊などから成る“日本版海兵隊”で、当初の規模は約2100人です。

 水陸機動団の上陸作戦能力は、憲法9条を踏みにじる海外での武力行使にもつながります。元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「上陸作戦能力は実はつい10年前まではタブーだった」とし、それは「海外派兵につながる」からだと指摘しています(2014年4月8日、参院外交防衛委員会)。

 安保法制の下、水陸機動団の発足は、海外で米軍と肩を並べて戦争する体制づくりの一環となります。河野克俊統合幕僚長は14年12月にダンフォード米海兵隊司令官(当時)との会談で、水陸機動団の創設に触れ、日米共同の上陸作戦訓練(「アイアン・フィスト」など)への積極参加を表明するとともに、「集団的自衛権の行使が可能となった場合は自衛隊の役割も拡大する」と述べていました(日本共産党の仁比聡平参院議員が入手した会談記録)。

 一方、水陸機動団の部隊や装備などを前線に送り込むために陸自が導入する垂直離着陸機オスプレイは、配備先のめどが立たない矛盾に陥っています。

 防衛省は配備先として佐賀空港(佐賀県)を候補地にしてきました。しかし、米海兵隊のオスプレイが沖縄県名護市への墜落など重大事故を繰り返し、2月には陸自の戦闘ヘリが佐賀県神埼市の民家に墜落したため、「地元の同意が得られていない」(防衛省)状況が続いています。防衛省内では他の陸自駐屯地に暫定配備する案も浮上していますが、事故が多発する危険なオスプレイの配備強行はどこであろうと許されません。

戦争体制づくりの阻止を

 今回の「水陸機動団」の発足など安保法制を本格運用するための体制をはじめ、9条改憲による安倍晋三政権の「戦争する国」づくりを許さない世論と運動を広げることが重要です。


pageup