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2018年3月25日(日)

伊藤詩織さん NYで性暴力根絶訴え

「We Too」私たちは一緒

 自身が受けた性暴力被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さんら日本の女性たちがニューヨーク市内で開いた討論会(ヒューマンライツ・ナウ、ニューヨーク州女性弁護士会共催)。「『Me Too』運動をこえて」と題されたイベントでは、詩織さんはじめ、同問題に関わる日本と米国の法律家、学者、NGO関係者たちが、性暴力のない社会の実現にむけ意見を出し合いました。(ニューヨークで遠藤誠二 写真も)


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(写真)討論会参加者から拍手を受ける伊藤詩織さん=16日、ニューヨーク(遠藤誠二撮影)

 米国では昨年から、ハリウッドの大物プロデューサー、ワインスタイン氏のセクハラ行為に対する告発に端を発し、「Me Too(私も被害にあった)」運動がSNS上で広がり、性暴力被害をなくす世論がかつてないほど盛り上がっています。

■国連で会見

 16日に開かれた討論会に先立ち詩織さんは国連本部で記者会見し、日本ではまだ性暴力被害者が声をあげにくい状況にあるとして、「Me Too」より、多くの人が助け合いながら性暴力被害をなくす取り組み「We Too(私たちも)」運動を盛り上げていきたいと語りました。

 討論会は平日午後の開催にもかかわらず多くの参加者で埋まりました。

 詩織さんは、自身の被害とともに、その後の警察での捜査や、告発後にさまざまな脅迫を受けた耐え難い経験を話しました。ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は、「日本ではレイプ被害者が声をあげると、バッシングを受ける」と説明。詩織さんは現在、日本でなく英国ロンドンで生活していると話しました。

 日本では昨年、110年ぶりに刑法が改正され、性犯罪規定がかわりました。しかし、暴行や脅迫が立証されない限り処罰されないなど依然として問題点が山積しています。詩織さんはじめ討論者は、刑法改正の問題点とともに、性交同意年齢が13歳と低いこと、多くの人が「泥酔したら性行為に同意した」ものと考えるなど、法律や国民の意識がいまだ遅れていることを指摘しました。

■日米の違い

 米国では昨年暮れ、ニューヨーク・タイムズ紙が、詩織さんに関する東京発の記事を掲載。米国では、セクハラ問題が、政治家、ハリウッド、IT産業、マスコミなどで騒がれているなか、日本ではこの問題が表面化しないと問題点をあげています。

 米国で起きた「Me Too」は、運動の前進面とともに、同国でのセクハラ問題が深刻であることを内外に示しました。

 討論会では、多くのセクハラ訴訟にかかわってきたブレナン弁護士が、多くの女性が声をあげた「Me Too」を高く評価しました。運動はSNSをこえ、「これまでにないほどの前向きな動きになった」と話し、被害を受けた女性が声をあげやすい状況に変化していると話しました。

 詩織さんは、「性暴力被害をうけた人の(個々の)問題だけでない」と語り、女性がおかれている多くの問題を変えていく「We Too」運動の目的を説明し「私たちはみんな一緒です」と語り、最後には大きな拍手を受けました。


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