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2018年3月17日(土)

追跡 仮想通貨NEM

手法変え続く送金

1日2000万枚の日も

写真

(写真)記者会見で質問に答えるコインチェック社の社長(左)=8日、東京都内

 コインチェック社から仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で、犯人側が流出ネムを換金するためには、他者にネムを送金する必要があります。その場合、必ず記録が残ります。犯人側が外部への送金をはじめたのが1月30日です。それ以降、16日午前0時現在、7600回以上の送金が行われています。1回の送金の枚数は数枚、数十枚というものから、最高は130万枚までさまざまです。1日ごとの送金枚数を集計すると、3面の図のようになっています。多い日には、1日に2000万枚以上が送金されています。

 もっとも、送金先のアドレスが、「犯人が新たに作成したアドレス」なのか、「犯人からネムを買った人物のアドレス」なのかは、送金記録自体から判別できません。送金が行われたことだけでは、換金が成立したのかどうかはわかりません。

終点は交換業者

図

 しかし、ネムが正体不明のアドレスに送金されただけにとどまらず、転送を繰り返した結果、最終的に仮想通貨交換業者などのアドレスに送りこまれた場合には、話が違ってきます。仮想通貨交換業者にある犯人自身の口座にネムを移すことは、正体が割れるおそれがあるため、あまり考えられません。

 したがって、仮想通貨交換業者に口座を持つ何者かにネムが売られたか、もしくは、送金の中間段階でネムを買った何者かが、そのネムを仮想通貨交換業者に持ち込んだかのどちらかと考えられます。どちらの場合も、すでに換金が成立していることになります。

 そこで、個々の送金について、転送先を調べていくと、表のように多くのネムが、米国のBITTREX(ビットレックス)や日本のZaif(ザイフ)のような大手仮想通貨交換業者に到達していることがわかります。名称は未確認ですが送金記録からみて仮想通貨交換業者と推定されるアドレスも含めると、2億2000万枚以上が仮想通貨交換業者に持ち込まれており、これらはすでに換金されたものと考えられます。

換金ねらう動き

 送金が最初に増えたのは2月9日前後。犯人側アドレスから「使い捨て」のアドレスを経由する方法で追跡をかわして、仮想通貨交換業者に送金されました。「Yobit(ヨービット)」や「HitBTC(ヒットビーティーシー)」などの、身元確認の甘い、あまり知られていない仮想通貨交換業者が最初の送金先とされました。

 2月14日ころからは、「ダークウェブ」と呼ばれる、一般人にはアクセスできないネット上の領域にある闇の仮想通貨交換業者や、中国の仮想通貨交換業者を経由するなどの手法で、ビットレックスやザイフなどの大手仮想通貨交換業者にも送金されるようになって送金額が急激に増加し、19日には1日で2761万枚が送金されました。

 また、2月末ごろからは、仮想通貨の送金代行業者を利用する手法で追跡を逃れ、大手仮想通貨交換業者に大量の送金が行われるようになりました。(本紙6日付既報)

 12日にも送金代行業者とみられるアドレスを経由する手法で、ビットレックスなどの仮想通貨交換業者に大量のネムが送金されました。手法を次々と変えながら、追跡を逃れて換金しようとする動きが続いています。

 (仮想通貨取材班)


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