しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月15日(木)

豊洲追加工事 「大成」発注 都が筋書き

本紙、文書入手 要求受け価格上乗せ

写真

(写真)豊洲追加対策工事(7街区地下空間床面)の入札不調を受けて、都が指名停止した大成建設との特命随意契約、積算価格の上乗せを検討、決定した東京都の内部文書=「しんぶん赤旗」が入手

 東京都の小池百合子知事が、指名停止中の大成建設に随意契約で土壌汚染対策追加工事を発注して批判を呼んでいる豊洲新市場(江東区)移転計画。入札不調の揚げ句、今年10月11日の開場ありきで、指名停止中のゼネコンに工事発注をした経緯が、本紙が都から入手した「マル秘」「取扱厳重注意」を含む14件の文書で判明しました。

 都は昨年12月22日、3日前に指名停止したばかりの大成建設に、豊洲新市場水産卸売場(7街区)の地下空間床面工事(4億7952万円)を特命随意契約で発注しました。

 今回明らかになったのは、都が入札改革のルールを破った上、大成建設の要求を受け入れて予定価格を上乗せし工事発注をするシナリオを、事前に描いていた事実でした。

 都が初めて特命随契方針を打ち出したのは、入札不調となった11月27日付「今後の契約スケジュール」の文書。「現行ルール外の運用」と注記し、特命随意契約に切り替えるとしていました。

 都が同28日に特命随契を結ぶことを前提に大成建設にヒアリングしたことや、大成側が都に積算価格の大幅上乗せを要求していたことも判明。結局、都は予定価格を当初より15%上乗せしました。

指名停止した大成建設と随意契約

小池知事、入札改革半年でほご

 「マル秘」印が押された12月11日付の「随意契約による工事請負契約の締結について」の文書に添付した特命理由書は、「限られた期間内に本工事を完了させるためには…競争入札に付すことは不利」と、スケジュール優先で競争入札を断念することを記しています。

 この問題は3月1日の都議会代表質問で日本共産党の白石たみお都議が追及し、小池知事は「法令上、指名停止中の事業者と特命随意契約を締結することを禁止する規定はない」と答弁しました。本紙が入手した12月21日付文書の「法令上、指名停止中の業者との特命随意契約の締結を禁止する規定はなく…」との記述と同じ内容でした。(岡部裕三)


豊洲(7街区地下空間床)追加工事発注をめぐる動き

 17年6月   小池知事が築地市場の豊洲移転方針を発表

   6月   都が入札制度改革を試行

   9月   豊洲追加工事補正予算を都議会が可決、共産党は反対

   9月22日、10月26日 7街区地下空間床工事の入札が2回とも中止

   11月27日 3回目の入札も不調。大成が予定価格を大幅超過。「今後の契約スケジュール」で特命随意契約を注記

     28日 特命随契を前提に、大成建設からヒアリング

     29日 「入札不調等への対応」で再積算の考え方を記述

   12月5日 大成建設が死亡事故の報告書を都に提出

     6日 都議会で公明が随意契約を要求、共産党は随契を批判

     11日 随意契約による手続きを決定。大成に見積もりを依頼

     15日 小池知事が会見で入札から特命随契に変えると表明

     19日 都が大成建設を2カ月の指名停止処分

     22日 大成と契約。「随意契約による工事請負契約の締結について」

 注      は本紙が入手した都の文書で判明


pageup