しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月13日(火)

野村不動産へ「特別指導」

公表基準に該当せず

厚労省 裁量労働拡大狙いか

 裁量労働制を違法に適用していた野村不動産に対して厚生労働省の労働基準局長が行った「特別指導」について、公表基準に該当しないにもかかわらず独自の判断で公表していたことが11日までに分かりました。本紙の取材に厚労省が認めました。基準に該当しなくても公表することで指導実績をアピールし、裁量労働制拡大の環境づくりをねらったものとみられます。

 同省は昨年1月、違反企業の公表基準を改定。送検されるか、局長が直接指導した場合に限って公表することにしました。局長による指導は、複数の事業所で法令違反を繰り返したり、過労死を引き起こした場合です。

 同省労働基準局監督課は、「野村不動産の場合は公表基準に該当しないが、順法状況に大きく影響すると判断した」と説明。こうしたやり方は「独自の判断であり、方針文書にもなっていない」として、ルールにもない異例の形で公表したことを明らかにしました。

 ただし、記者会見では、違法適用された男性社員が過労死し、労災認定された事実は公表されませんでした。同省は個人情報を理由に過労死の有無について明らかにしていませんが、過労死を起こせば公表基準に該当する可能性があります。電通のように送検されることも考えられます。

 同省は、特別指導を発表したにもかかわらず、公表基準に該当しないとして、ホームページで公表している違反企業リストに野村不動産を掲載していません。裁量労働制の拡大にとって支障となるため過労死の事実を認めようとしない姿勢が矛盾を招いています。


pageup