2018年3月5日(月)
原発から自然エネへ―「エネルギー大転換」の実現を
志位委員長のあいさつ
4日に開かれた「原発ゼロの未来へ 3・4全国集会」での日本共産党の志位和夫委員長の連帯あいさつは次の通りです。
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原自連の「原発ゼロ基本法案」の考え方を生かして野党共同の法案を
みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。私は、日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつを送ります。(拍手)
この間、原発ゼロの未来を開く希望ある動きが起こっています。
小泉純一郎、細川護熙両元総理が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)のみなさんが「原発ゼロ基本法案」を提案しました。私は、それを拝見しまして、私たちの立場と全面的に一致する、全面的に賛成だと申し上げたいと思います(拍手)。私は、小泉さんが総理大臣の時代には、だいたいあらゆる問題で対決してまいりましたが(笑い)、いまは、この問題では小泉さんとも全面的に協力して、とことん頑張りたいと決意を申し上げたいと思います。(拍手)
とくにこの「基本法案」の「肝」となっている考え方というのは、「運転している原発は直ちに停止する」「原発の再稼働は一切認めない」。ここだと思います。たとえ短期間であっても原発の稼働は一切認めない。ここが大切だと思います(拍手)。なぜなら、たとえ短期間であっても原発の稼働を容認すれば、その期間に原発事故が起こらないとだれも保証できないからです(「そうだ」の声)。そしてひとたび事故が起こったら、取り返しがつかないことになります。動いているものは直ちに止める、再稼働は一切認めない――ここで団結しようではありませんか。(大きな拍手)
他の野党のみなさんからも原発ゼロの法案が提案されておりますが、わが党としては、原自連の「基本法案」のこの「肝」となっている考え方が生きる方向で、野党共同の法案をまとめていくために、しっかり話し合っていきたいと考えております(拍手)。みんなの力で「原発ゼロ基本法案」を実現しようじゃありませんか。(大きな拍手)
国民世論を考えれば、原発ゼロこそ現実的、原発固執は非現実的な暴論
原発にしがみつく勢力は「原発ゼロは非現実的」だと言っています。しかし、非現実的なのはどちらか(「そうだ」の声)。私は、三つの点を訴えたいと思います。
第一は、国民世論との関係です。
原発事故から7年たちました。どんな世論調査をみましても、原発の再稼働反対は5割から6割で揺るぎません。昨日、朝日新聞の世論調査が発表されましたが、国民の61%は再稼働に反対、福島県民のみなさんのなかでは75%と絶対多数が再稼働に反対と答えています。
福島では、県の発表でもいまだに5万人をこえる方々が避難生活を余儀なくされておられます。飯舘村で暮らしておられた102歳の男性が自ら命を絶つという痛ましい事件が大問題になりましたが、福島では震災関連の自殺者が、昨年末までに99人となったということであります。7年たっても、なお深刻な被害が続く。こんな事故は、原発事故以外にはないじゃありませんか。
この現実を目のあたりにして、「もう原発は動かせない」「動かしてはならない」――そのことが国民みんなの気持ちになっている。再稼働反対は、いまや国民的合意といってもいいのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
安倍政権がやろうとしていることは何か。2030年度の電源のなんと20~22%を原発でまかなうと言っています。とんでもないことです。現在の原発の比率は2%です。これを10倍にしようというのです。30基もの原発を動かすといっている。老朽原発を延命するといっている。原発を建て替えするといっている。こんなことができると本気で思っているのでしょうか。30基もの原発の稼働など、国民が絶対に許すわけがないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
国民世論との関係を考えれば、私は、原発ゼロこそ現実的、原発にしがみつくことはまさに非現実的な暴論であり、妄想にすぎないということを訴えたいと思います。(拍手)
究極の高コスト――世界銀行総裁も「原発への投資は行わない」
第二は、コストの問題です。
原発事故の処理費用は、政府の見積もりでもすでに21・5兆円に達し、どこまで膨らむのか分かりません。コストというのなら、究極の高コストが原発であります。
この間、日立がイギリスで進める原発新設にかかわって、日本のメガバンクの融資に政府が100%の保証をつけることが大問題になっています。メガバンクは政府が保証しないと融資しないのです。怖くて原発に融資できないのです。これは、原発という事業が民間だけでは採算がとれない、政府丸抱えでないと事業として成り立たない、ハイリスク=ハイコストの事業であることを、自ら証明するものじゃないですか。(「そうだ」の声、拍手)
世界銀行の総裁は「原発への投資は行わない」と明言しました。自然エネルギーは、普及が進めば進むほどコストが安くなります。原発は反対に、しがみつけばしがみつくほどコストが上がる。
原発に未来がないことは、コストの面からも明らかであります(拍手)。未来が洋々と開けているのは自然エネルギーだということを、私は訴えたいと思います。(拍手)
「核のゴミ」でも完全に行き詰まり――最終処分場もまったく見通しなし
そして第三は、「核のゴミ」の問題です。
原発を再稼働すれば、計算上、わずか6年で原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になります。使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは、完全に行き詰まっています。高速増殖炉「もんじゅ」は、廃炉に追い込まれました。再処理工場は、稼働のメドがたたない。「サイクル」というけれど、まったく回らない。完全に行き詰まり、破綻してしまっています。
世界で最初の「核のゴミ」の最終処分場となったフィンランドの「オンカロ」は、10億年以上も地盤が動いていない岩盤をくりぬいてつくったものです。10億年以上ですよ。そんな場所がこの日本にありますか(「ない」の声)。地震・火山列島のこの日本のどこを探したって、あるわけないじゃないですか(「そうだ」の声)。まったく見通しはありません。
「核のゴミ」という点でも、完全に行き詰まっているのが原発です。「核のゴミ」を増やさないためには、再稼働をやめるしかないではないですか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
大事故を体験した日本でこそ「エネルギー大転換」を実現しよう
「原発ゼロ」の決断をしてこそ、自然エネルギーの飛躍的普及が進みます。ドイツがいい例です。ドイツは2022年までに全ての原発を廃炉にすると決めています。一時、少し廃炉の時期が先送りされたことがありましたが、福島の原発事故の教訓を踏まえて、2022年までに全原発廃炉を決めた。メルケル首相は「福島の事故が姿勢を変えた」とのべました。
このことが契機となって、ドイツの自然エネルギーの普及は加速度を増しました。すでに電源の36%が自然エネルギーとなっています。飛躍的に伸びている。電力の輸出が大幅に伸びています。みなさん、ここにこそ未来がある。この未来をご一緒に開こうではありませんか。(拍手)
大事故を体験したこの日本でこそ、原発から自然エネルギーへの「エネルギー大転換」を実現しようではありませんか。そのために、私たちも、ともにたたかい抜く決意を申し上げまして、連帯のごあいさつとします。頑張りましょう。(長く続く拍手)