2018年3月3日(土)
残業代ゼロ制度も撤回を
裁量制と同根 危険さらに
参院予算委 小池書記局長が追及
「歯止めなき長時間労働をもたらす制度はきっぱり撤回せよ」―。日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、「専門職」を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)について「裁量労働制と根っこは同じで、さらに危険が大きい」と追及。裁量労働制の拡大は先送りせず断念し、残業代ゼロ制度も撤回するよう主張しました。
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残業代ゼロ制度は、年次有給休暇以外の労働時間の規制をすべて適用除外とする制度です。小池氏は、残業代ゼロ制度では「健康確保措置」として「年104日以上」の休日が義務付けられるものの、「年間6000時間以上の労働を強制しても違法にならない」と指摘。加藤勝信厚労相も「違法という規定はない」と認めざるをえませんでした。
小池氏は、労働基準法では「(労働条件は)人たるに値する生活を営むための必要を充(み)たすべき」としていることをあげ「年間6000時間を超える労働を労基法で認めることが許されるのか」と迫りました。安倍晋三首相は「これからつくるので、問題が起きているわけではない」とごまかしました。
小池氏は「残業代ゼロ制度も裁量労働制も『自律的な働き方』というが、実態はどうか」として、トヨタ自動車では、裁量労働制で働く人の8割が健康状態に懸念があると報告され、過労死水準の超過勤務まで行われている実態を告発。「業務量について労働者に裁量権がないから『みなし労働時間』とかい離が起こり、健康被害が生まれる」と強調しました。
小池氏は、データねつ造問題の根本に、実労働時間把握をしない裁量労働制の問題があると指摘。安倍政権が、労働政策審議会も無視して、トップダウンで法案策定を進めてきた経緯を浮き彫りにして、「安倍首相の責任は極めて重大だ」と批判し、管理監督者や裁量労働対象者を含め全ての労働者の実労働時間の把握義務の法定化を提案しました。
加藤厚労相は「(厚労省調査データを)白紙のものとして、改めて実態を把握し、議論し直していく」として事実上、調査データを撤回しました。裁量労働制と残業代ゼロ制度をめぐる労政審の議論の前提が完全に崩れたことになります。
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