2018年3月1日(木)
自公、審議尽くさず予算案強行
6野党抗議 共同で組み替え動議
衆院本会議
国民の命と生活を脅かす裁量労働制の拡大を合理化するための調査結果の捏造(ねつぞう)やデータそのものの誤りが次々と明らかになり、徹底審議が求められる中、自民・公明の与党側は28日の衆院予算委員会で2018年度予算案について質疑を打ち切り、採決を強行、同日夜から開かれた本会議でも両党の賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、希望の党、無所属の会、自由党、社民党の野党6党・会派は与党側の強行に厳しく抗議し、衆院本会議で政府提出の予算案に反対するとともに、共同で組み替え動議を提出しました。動議は与党側が否決しました。
裁量労働実態把握 首相「相応の時間」
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討論で日本共産党の藤野保史議員は、「働き方改革」一括法案の前提は根本から崩れており、提出を断念すべきだと主張。政府・与党側は森友疑惑の解明にも背を向けており、野党が求めた「最低70時間」の野党質問時間に満たないままの採決など「断じて認められない」と強調しました。
同日の予算委では、安倍晋三首相が、裁量労働制のデータ問題に関し、「きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない」と答弁。ただ、実態把握の手法については「加藤勝信厚生労働相を中心に検討する」というだけで、野党側が求める労働者への聞き取り調査の実施や具体的内容に関しては終始言明を避けました。「実態把握」には「相応の時間を要する」と述べました。
複数の政権幹部によると、政府・与党は、法案の提出を4月以降に先送りする方向で調整に入りました。
組み替え案
経済政策の転換要求
軍事費一部にメス 暮らしへ
野党6党・会派が衆院に共同提出した組み替え案は「アベノミクスの失敗は明らかであり、経済政策の転換が必須である」と指摘。▽保育士の給与引き上げなどの「人への投資」▽農業者戸別所得補償制度の復活などの「地域活性化」▽裁量労働についての全般的な再調査や公文書管理の適正化の経費計上▽政府が提案する生活保護基準見直しの再考―に計1・9兆円程度の歳出の追加を盛り込みました。一方、米国から兵器を調達する有償軍事援助(FMS)など水膨れ予算の適正化などに1・9兆円程度の歳出削減を求めています。
討論で日本共産党の藤野議員は、同組み替え案は、部分的ではあるが巨額の軍事費・FMSなどにメスを入れ、格差と貧困の是正や国民生活に振り向けるもので「6野党が一致して安倍政権の経済政策の転換を求めた点に意義がある」と、共同提案に加わった理由を述べました。