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2018年2月21日(水)

米軍F16、燃料タンク投棄 小川原湖

湖面に水柱 鼻突く油臭

休漁 “収入断たれる”

写真

(写真)事故を目撃した漁師の山田さん(左)と、事故の状況を聞き取りする、日本共産党の市川東北町議と奥本前三沢市議(右)=20日、青森県東北町小川原湖漁協組合

 またもや米軍機が事故を起こしました。米軍三沢基地(青森県三沢市)のF16戦闘機が20日、燃料タンク2本を同県東北町の小川原湖(おがわらこ)に投棄。タンクは、湖でシジミ漁をしていた漁師たちの近くに落下。現地に駆け付けた日本共産党の市川俊光東北町議と奥本菜保巳・前三沢市議に、事故を目撃した漁師らが、紙一重で人的被害を免れた状況を証言しました。

 東北町の山田正彦さん(52)がシジミ漁をしていると、上空から爆音とともに、何かが落ちてきて水柱が高くあがりました。

 場所は、湖の南岸から約500メートル離れた氷上。付近には10隻ほどの漁船がシジミ漁をしており、水柱から最も近い漁船は約200メートルでした。

 落下地点に近寄ると氷に直径約10メートルの穴が開いていました。氷上には迷彩柄の部品が点在。山田さんは、「鼻が曲がるぐらい強烈なオイルの臭いがした。氷の下には七色の油がプワーと浮いていた。後で現場に案内した米軍から『触るな』と言われた。化学物質が入っているからではないか」と振り返ります。「この時期のシジミは高値で売れる。部品落下なんて冗談じゃない」と山田さんは強く憤りを語りました。

 市川、奥本両氏は、小川原湖漁業協同組合の濱田正隆代表理事組合長とも懇談。濱田組合長によると、同日のシジミの水揚げは合計約385キロ。同組合はこれらをすべて廃棄することを決めました。

 落下した2本のタンクのうち1本は行方が分かっていません。同日開いた臨時理事会では、米軍の現場検証や部品回収が終わるまで、すべての漁を休むことも決定しました。

 同漁協によると小川原湖の漁師は約400人。シジミ漁だけで約250人が携わっています。シジミ、ワカサギ、シラウオ、ウナギの漁獲量は全国トップクラスだといいます。

 濱田組合長は、「大学や高校受験を控えた子どもを持つ組合員もいる。この時期、シジミは高値で取引される。漁ができず収入が断たれることは子どもたちの未来にかかわる問題だ。米軍は組合員の生活補償をすべきだ」と求めました。

F16の撤去を

 党青森県上十三地区委員長の市川俊光東北町議の話 漁師がいるすぐ近くに、燃料タンクを投棄するとは許せないことです。特産品のシジミなどへの影響もありうる非常に重大な事故です。

 沖縄県をはじめ、日本各地で米軍機や自衛隊機の部品落下や墜落事故が起きているなかでの事故であり、住民の不安はとても大きい。F16を三沢基地から撤去すべきです。

近くに原子力施設

 部品を投棄したF16戦闘機が所属する米軍三沢基地から北に約30キロの地点には、使用済み核燃料を再処理する六ケ所再処理工場があります。原子力規制委員会は航空機墜落対策を考慮するよう求めています。ただ同工場を運営する日本原燃は、米軍機落下の確率は低く設計上考慮する必要はないとしています。

地元消防に通報なし

 米軍三沢基地のF16戦闘機が燃料タンクを小川原湖に投棄した事故で、米軍と防衛省が地元消防などに直接通報していなかったことが20日、本紙の調べで分かりました。

 小川原湖を管轄するのは中部上北広域事業組合消防本部です。同本部の担当者は本紙の取材に、「通報はありませんでした。情報が入ってこないので現在(午後1時20分)は収集中です」とこたえました。

 東北町の担当者も「米軍、防衛省から連絡はなかった。午前8時50分ごろに漁協からの電話で事故を知った」としています。

 事故が起きたのは午前8時40分ごろ。防衛省によると、午前9時20分ごろに青森県に連絡。青森県から東北町にファクスで連絡がきたのは午前9時40分ごろでした。事故発生から1時間もたって間接的に情報が入ったかたちです。

三沢基地所属機 最近の主な事故

(※はEA18G電子攻撃機、それ以外はF16戦闘機)

98・7・24 離陸に失敗し、オーバーラン、基地内で炎上

99・1・21 岩手県釜石市の山中に墜落

00・11・13 北海道松前沖で2機が空中衝突、墜落

01・4・3 三沢市天ケ森沖の太平洋上に墜落

02・4・15 青森県深浦町沖の日本海に墜落

07・3・22 飛行訓練中に燃料漏れをおこし函館空港に緊急着陸

17・10・17 三沢対地射爆撃場の訓練(制限)水域内に燃料タンク投棄※

18・2・20 青森県東北町の小川原湖に燃料タンク投棄


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