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2018年2月16日(金)

佐川国税庁長官 喚問しかない

「森友」虚偽答弁は明白

幕引き図る安倍政権

 所得税や法人税の確定申告の受け付けが始まる16日、財務省や国税庁をはじめ、全国の税務署を包囲するデモなどが予定されています。最大の怒りの矛先は、8・2億円もの不適正な値引きが行われた「森友学園」への国有地売却をめぐる国会での虚偽答弁が明らかになった佐川宣寿前財務省理財局長(現国税庁長官)。そして、その佐川氏を「適材適所」といってかばい、疑惑の幕引きを図ろうとする安倍晋三首相や麻生太郎財務相です。

 (林信誠)


国有地の不適正売却

意図的に隠蔽か

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(写真)籠池泰典理事長(当時)夫妻と懇談し記念写真をとった安倍昭恵氏=2014年3月15日(昭恵氏のフェイスブックから)

 佐川氏は国会で、問題の国有地売却交渉についての文書も面談の記録もすべて「廃棄し、残っていない」と一貫して答弁。売却価格の決定や価格そのものについても「適正だった」と説明していました。ところが、その答弁は、この間判明した内部文書や調査などでことごとく虚偽だったことが明らかになっています(表)。会計検査院も、値引きの“根拠”とされたゴミの量は「最大7割も過大」だったと指摘し、売却価格についても「十分な根拠がない」と指弾しています。

 国有財産=国民の財産である国有地を、特定の学校法人に法外な安値で売却した責任をだれ一人とっていないのは異常です。

 国有地売却をめぐっては、安倍首相の妻・昭恵氏付の政府職員が国有地の「売買予約付定期借地契約」などについて森友側の要望を財務省に伝え、回答を得ていた事実も判明しています。安倍首相や夫人と癒着関係にある学園への不正な国有地売却が行われた可能性のある記録を意図的に隠蔽(いんぺい)していたのではないか――。これこそが、佐川氏に問われている疑惑です。

「自発的な納税義務」

国民には履行迫る

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(写真)質問にこたえる佐川宣寿理財局長=2017年3月1日、参院予算委

 佐川氏は昨年7月、次官級の国税庁長官に“栄転”しました。

 その佐川氏は、国税庁に記者会見記録が残っている9人の歴代長官のなかで唯一、長官就任時の記者会見を行っていません。就任後も一度も会見に応じていないのです。

 驚くべきは、1月15日付の税理士業界紙「税理士界」に掲載された対談記事での佐川氏の発言です。「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」

 国民に対して忠実に職務を行うべき行政機関の幹部として、政権の疑惑にかかわる記録を隠蔽しながら、国民には「自発的な納税義務の履行」を迫る姿勢が納税者の怒りを呼ぶのは当然です。

 同記事で佐川氏は「納税者や税理士の皆様から信頼される組織運営」「適正・公平な課税・徴収の実現」に努めるなどとも表明しています。

 税務署で確定申告についての相談電話を受けている千葉県の派遣労働者の男性は「1日に20~30本の電話を受け、そのうち1割がクレームです」「麻生(太郎財務)大臣は、『クレームはあるかもしれない』といっているが、あきれて腹が立ちます。大臣こそ適材ではない」と語ります。

「適材適所」「有能」と答弁

擁護する首相ら

 そんな佐川氏をかばっているのが安倍政権です。安倍首相は、佐川氏の国税庁長官起用は「他の全ての人事と同じく、適材適所の考えに基づいて行った」(1月24日の衆院本会議答弁)と胸を張りました。

 佐川氏の証人喚問要求を拒否する理由について、麻生財務相は「前職(理財局長)のことを国税庁長官として答える立場ではない」(13日、衆院予算委員会)などと説明。佐川氏本人については「極めて有能な役人だ」(15日、同委)と持ち上げる始末です。

 国民を前に会見にも応じられず、納税者の怒りを買って全国の税務署での徴税業務に影響を与えている人物がどうして「適材適所」「有能」だなどといえるのでしょうか。

昭恵氏含む証人喚問要求

野党各党は一致

 日本共産党は、昨年の特別国会で宮本岳志衆院議員が、国有地売却価格をめぐり国側職員と森友学園関係者が“口裏合わせ”を行っていた音声データを明らかにしましたが、今通常国会でも、「森友」疑惑追及の手は緩めていません。1日の参院予算委員会では辰巳孝太郎議員が新たな音声データの内容を示し、籠池泰典理事長(当時)が近畿財務局などとの面談で、昭恵氏から電話で「頑張ってください」と言われたと伝えていたことを明らかにしました。

 厳しい追及のもと、財務省は新たに計20件、300ページに上る内部記録を開示しました。近畿財務局担当者が森友側の要望をなんとかしてかなえようと法務担当者に相談を繰り返した記録です。何らかの“力”のもとで同学園を“特別扱い”していたのは明らかです。

 佐川氏の隠蔽と不適正な土地の売却の実態が明らかになったもとで、野党は昭恵氏に加え、佐川氏の証人喚問要求でも一致しています。

異様な売却の“背景”

便宜図った事情は

 日本共産党の小池晃書記局長は13日の記者会見で、佐川氏の虚偽答弁問題について「問題は、なぜ佐川氏が事実を隠し続けたのかだ」と指摘。国民の財産をできるだけ安く売ろうという異様な対応をした背景には、森友学園側に便宜を図らなければいけない事情があったのではないか。「それを明らかにするには、佐川氏と安倍昭恵氏の証人喚問は不可欠だ」と強調しました。

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