2018年2月15日(木)
論戦ハイライト
核持ち込みの危険高まる
藤野議員 米核態勢見直しで追及 衆院予算委
北の核開発加速の口実に
核兵器搭載の米艦防護も
トランプ米政権の新たな核戦略「核態勢見直し」(NPR)によって、日本への核持ち込みの危険が高まる―。日本共産党の藤野保史議員は14日の衆院予算委員会で、核兵器の増強と使用条件の緩和を打ち出したNPRが日本に与える影響を指摘し、政府の認識を追及しました。
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日本政府は、NPRを「高く評価する」と歓迎しています。藤野氏は、NPRの方針が、北朝鮮の核・ミサイル開発を加速させる口実となることや、新たな核軍拡競争の火種となると世界でも懸念が広がっていると指摘。北朝鮮問題に関して、韓国と北朝鮮間で対話が始まったことや、ペンス米副大統領の前向きな姿勢を紹介し、政府の認識を批判しました。
藤野 ペンス氏は「最大限の圧力は継続され、強化される。しかし、彼らが対話を求めるならば、われわれは対話をする」と述べている。しかし、首相からは「対話」がでてこない。際限のない核軍拡競争を招きかねないNPRをとてもではないが評価はできない。
首相 北朝鮮の核・ミサイル開発の進展等、安全保障環境が急速に悪化しており、日米同盟のもとで通常兵器に加え核兵器で守ることが大切だ。
今回のNPRでは、太平洋地域から前方配備の核兵器を撤退させていた方針を転換しました。核兵器を搭載している爆撃機と、通常兵器と核兵器が搭載できる両用戦闘機(DCA)を、「世界中で前方配備する能力を維持する」とし、「必要な場合、北東アジアなどの他地域に配備する能力を持っている」と明記しています。
日本政府はこれまで、米国が核兵器の撤退や退役を打ち出していたために、日本の領空に核搭載の米爆撃機が飛来・通過することは、「想定していない」と答弁しています。藤野氏は、今回のNPRにより政府答弁の前提が崩れ、日本に核が持ち込まれる危険性を指摘。さらに、安保法制のもとで自衛隊が核兵器を搭載した米艦艇・航空機を防護する可能性を追及しました。
藤野 安保法制の国会審議のとき、「日本が核兵器を搭載した米艦艇や爆撃機を防護するのか」との質問に対し、安倍政権は否定した。理由は、「米国が核兵器を撤去したから」とのことだったが、この前提が今回のNPRで変わったことは認めるか。政府答弁の整合性が問われている。
首相 前提が変わるわけだが、米国はわが国の非核三原則を十分に理解している。米国が核兵器を搭載した米軍機をわが国に飛来させたり、領空を通過させたり、配備をしたりということは、現状において想定はしていない。
首相は藤野氏の指摘を認めながらも「想定はしていない」と強調。小野寺五典防衛相も、「米軍が自衛隊に対して、核兵器を搭載した航空機・艦艇等の防護を要請することは想定されない」と強弁しました。
藤野氏は、非核三原則の「核持ち込み」に関する密約が正式に廃棄されていないと強調。トランプ政権が核密約に基づき、日本に核持ち込みを求めてきた場合の政府対応を追及しました。
首相 米国は同盟国の日本の非核三原則を十分に理解している。
藤野 非核三原則のもとでも、核密約があったではないか。日本への核持ち込みの危険が現実となっている。絶対に許されないことだ。
藤野氏は、日本に核持ち込みがされない根拠を示せない政府を批判。「核密約」や非核三原則の根本が改めて問われていると指摘するとともに、政府の統一見解を要求しました。