2018年2月10日(土)
火山観測・研究者足りぬ
衆院予算委で塩川氏 高齢化が深刻
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12人の死傷者を出した草津白根山の本白根山をはじめ、日本には111の活火山があるのに、火山の観測・研究に従事する「火山の主治医」が足りない―。日本共産党の塩川鉄也議員は9日の衆院予算委員会で、火山の主治医の高齢化と若手研究者が不足している実態を告発しました。
火山観測は、気象庁とともに大学の観測所が大きな役割を担っています。1月23日の噴火の第一報を入れたのは、東京工業大学の野上健治教授でした。塩川氏は、野上教授ら火山の主治医が何人いるか、うち40歳未満は何人かと質問。文部科学省は、2016年時点で45人、うち40歳以下は7人だと説明しました。
塩川氏が「111の活火山があるのに、大学における火山の主治医が数十人。しかも後継者の若手がいない。火山の観測・研究体制が掘り崩されている大問題だ」とただすと、林芳正文科相は「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」で人材育成をしていると答えました。
塩川氏は「火山の研究にかかわる就職口はあるのか。火山研究を志そうとしてもどうにもできないのが実態だ」と追及。林文科相は「なるべくできる範囲で」と答えました。
塩川氏は、有珠山噴火の際に北海道大学有珠火山観測所が大きな役割を果たし、死傷者ゼロだった事例を紹介。一方、国立大学の法人化後、東大と北海道大の火山観測所の常駐・常勤の人員がゼロになっている実態を明らかにしました。
小此木八郎防災担当相は「主治医・専門家の育成は一つの課題。今後協議・研究する」と答えました。
塩川氏は「予算で示せ。そもそも国立大学法人化後の運営費交付金の削減が、人件費削減につながり、民間資金獲得が困難な基礎研究である火山研究体制にしわ寄せとなっている」と厳しく追及しました。